2016.11.17
気づかないうちにコツコツ投資できるオンライン投資ロボアドバイザーアプリ「Arcorns」
企業/サービス名
Arcorns/Arcorns
企業概要
本社 アメリカ・カリフォルニア
設立 2012年
創業者
・Walter Cruttenden
シリアルアントレプレナー。これまでnow Roth Capital Partnersを設立し売却。そのほかにも、EOfferingの投資銀行部門の最高経営責任者などを務めている。
・Jeff Cruttenden
Walterの息子。数学の学士を取得後、父と創業。父親の教えのもと、高校生のころから投資を経験。
資金調達
合計の調達額:$61.96M
直近の調達:2016年4月・$30M・シリーズD
主な調達先:Paypal、楽天など
サービス概要
・クレジットカードやデビットカードでの決済時のおつりを投資運用することができるモバイル小額投資プラットフォームを提供している。クレジットカードやデビットカードでの支払いの端数を6種類のETFに自動で分散投資できる。(たとえば、35セントのおつりなら1ドルに切り上げて投資できるなど)。投資は最低5ドルから可能。
・投資レベルは慎重から強気まで5段階で設定することができ、それにあわせて、おつりの単位(1ドル、10ドルなど)や投資ポートフォリオが変動する。たとえば、「慎重型」を選んだときには大企業の株の割合が大きくなり、「強気型」を選んだときは新興株の割合が大きくなるなど。
・アプリと口座を連携させるだけで、小額から簡単に投資できるようにした。
・リスクを恐れて、容易には投資に手を出さないミレニアル世代(1980~2000年代初頭の生まれ)に投資の楽しさを広めるために生まれた。
・年収5万ドルから9万9000ドル(約547万円から1083万円)の若年層に利用されている。
・ユーザー数は85万人おり、75%以上を18歳から35歳以下の若い世代が占めているという。(2016年4月現在)
サービス概要図
ターゲット
・ミレニアル世代(1980~2000年代初頭の生まれ)の投資初心者
ターゲットの課題
投資を開始するのは若者にとっては、下記の3つの大きなハードルがあった。
・仕組みや運用方法が複雑でわかりにくい。
・商品数が多すぎて選べない。
・自分でポートフォリオを組むことができない。
本サービスが狙った業界
インターネット証券業界
営業人員がいない業界のため、アドバイスを受けることができず、ユーザー自身で商品の選択、判断をしなければならない。
発想の転換
これまで、「インターネット証券会社」は「金融リテラシーの高い、投資経験者」に自身を運用することを前提にして、「多数の金融商品」を提供していたが、本サービスは「ロボアドバイザー」によって、「金融リテラシーの低い若年層の投資初心者」に「アプリで簡単にわかりやすい金融商品」を提供している。
マネタイズ
・顧客が投資した金額が5,000ドルに満たない場合は月額1ドル、5,000ドルを上回る投資には年額0.25-0.5%を手数料として、徴収している。
考察
スマートフォンの浸透により、投資がより身近で簡単になった。本サービスのターゲットは、これまで、金融リテラシーが低いため、証券業界からは投資を始めるとは考えられていなかったミレニアル世代をユーザーとして獲得しているのが強み。
しかし、既存のインターネット証券業界も実現しようと思えば、できる仕組みであり、発想の転換は弱い。
競合はWealthFront(運用30億ドル)、Betterment(顧客15万人、運用39億ドル)などがあり、ロボアドバイザーの精度(強いては、この分野の人材の採用と教育)が重要。
マーケットアウト度
★★☆☆☆