2017.05.19
弁護士のための判例検索などで利用できるAIによる情報プラットフォーム「casetext」
企業/サービス名
casetext
企業概要
本社:アメリカ・カリフォルニア
設立:2013年
創業者
Jake Heller(CEO):スタンフォード大学で法律を学び卒業後、ホワイトハウスでのインターンなどを経て現在に至る。
資金調達
合計調達額 $20.8M
直近の調達 $12M2017.3.23 Series B
主な調達先 8VC, A-Grade Investments, BoxGroup, Canvas Ventures, Charlie Cheever, Crosslink Capital, Formation 8, SV angelなど
サービス概要
・弁護士が判例などを探す際に、より素早く簡単に探せるためのAIを利用した情報のプラッチフォームを提供している。具体的には判例、法律、規制などを無料で検索し、主要な弁護士、法律事務所、学者の洞察を得ることができる。
・弁護士が注釈を付けた法的文書にユーザーが自由にアクセスできたり、判例においてもインサイトや要約、重要な箇所、最も引用が多い文章が表示されたりと多機能。
・ユーザーは無制限に判例などをダウンロードしPDFへの変換、共有が可能。
ターゲット
弁護士
ターゲットの課題
Google Scholar(学術論文などが載るサイト)やFindLaw, Justia(一部地域の判例の検索ができるサイト)などによって、個々に検索して情報を探さなければならないという徒労があった。
本サービスが狙った業界
法律関連図書業界
発想の転換
これまでは各々の弁護士がそれぞれの手段によって自力で判例を探していたが、これからは本サービスによって集約されたデータベースで総合検索し過去の使用者による重要な箇所のチェックなどを閲覧することによって、素早い情報へのリーチが可能となった。
マネタイズ
119ドル/月
類似企業
・Google Scholar:学術論文などが載るサイト
・FindLaw/Justia:一部地域の判例の検索ができるサイト
→地域や場所によって限られてしまうのと、判例自体においてもインサイトや要約、重要な箇所、最も引用が多い文章が表示されたりなどの特徴は上記の競合にはない。
考察
・2015年度現在、アメリカには130万人以上の弁護士がいる一方で、日本にいる弁護士が約3万6000人。
・アメリカは訴訟大国と言われ、2014年度の民事訴訟の数は約1800万件と言われ、この数字は日本の7倍にあたる。
・有名な下らない訴訟としては、マクドナルドコーヒー事件(1992)がある。コーヒー購入者が車でコーヒーをこぼし、訴訟を起こしてマクドナルドと約7260万円で和解した事件。このような小規模な判例から、重大な事件まで多くの訴訟が取り扱われるアメリカにおいて、裁判で使用する情報を探す総合的なプラゥトフォームがあるのは、個々で検索するのと比較して大変な時間短縮になると考えられる。
・日本では2006年に「年間約3,000人の司法試験合格者を生み出す」という趣旨のもと新司法試験制度がスタートした。内容としては、法科大学院を修了した者のみが司法試験を受験でき、その合格者は司法修習と呼ばれる実務補修を受け、最後にまた試験を行うことで最終的に法曹界に入るというものである。この制度変更によって、10年間で15,000人に弁護士は増えたが、急激な増加によって就職できない弁護士(イソ弁:いそうろう弁護士やノキ弁:ヒトの事務所の軒を借りて営業する弁護士など)も増加してしまった。
・アメリカと比較して日本において業界の規模自体は劣るものの、ある程度の規模感と今後急激に縮小することのない安定性はあるが、このように弁護士が増加しすぎた結果働く機会を失っている現状がある中、このようなサービスによる業務効率化はさらに進むと思われ、弁護士業界はさらに競争が激しくなることが予想される。
マーケットアウト度
★★☆☆☆