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「冷凍食品の製造・流通・販売の現場では、“いいコミュニケーション”がとれていないのではないか――」。

冷凍技術のコンサルティング、商品開発、マーケティングを手がける株式会社えだまめ代表取締役兼CEO成田博之氏はそう考えた。

99%が中小零細企業。冷凍食品加工業界が陥っていた知識の欠乏による悪循環

成田氏は元々広告代理店・博報堂の営業としてマーケティングを担当。飲料メーカーを中心とする顧客に商品開発の支援を行い、消費者といかにコミュニケーションを築くべきかを提案してきた。

そのため、食関連の業界構造についてはある程度把握していたが、起業を目指し、情報を探すうちに冷凍学を専門とする東京海洋大学・鈴木徹教授(現・株式会社えだまめ最高技術顧問)と出会い、話を聞いて驚いた。

冷凍食品加工業界は高度な技術を持つにもかかわらず、非効率な設備投資や商品開発上の失敗が起こることが多かった。食品加工業者の99%は日本各地に点在する中小零細企業。

大手企業の一部の専門人員を除いて、冷凍に関する技術知識が共有されていなかったのだ。 2015年に成田氏は株式会社えだまめを創業。東京海洋大学と共同研究契約を結び、冷凍に関する技術シーズを産業化する取り組みをはじめるようになる。その間にも続々と全国の中小の食品メーカーから「高額の凍結機を買ったのに、商品が満足に生産できない」という相談が大学へ持ちかけられていた。

最適な解決策は何か?サービスを複数持つことで第三者的なアドバイスを提供

冷凍に関する情報の共有が業界全体で不足している理由は、この業界ならではの特徴にあった。 冷凍技術と冷凍学は漁業と共に発展してきた背景がある。そのため、技術開発と研究は魚介類の保存と輸送に焦点がおかれ、食品全体の冷凍について総合的に発信できる専門家が極端に少なかった。

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情報が少ない中、業界の注目を集めたのは、数百万円以上の投資を必要とする凍結機だった。設備投資の中でも高額であり、食品の「冷凍」に直接かかわる凍結機には自然と食品加工業者の関心が集まる。高額な商品が売れるため、当然凍結機メーカーの開発や宣伝にも力が入るようになる。結果として、「品質の高い食品を生産できる」とさまざまな技術や性能を謳う凍結機が次々に開発された。その結果、事業者はこぞって高性能の凍結機を購入するようになったのだ。

しかし、高額の投資をしたはずなのに、思うような品質にならない事例も相次いだ。加えて、高品質な商品を生産しても配送中に品質が劣化したり、消費者が誤った方法で解凍や調理をして品質が落ちたりすることもあった。結果として「冷凍食品は生より味が劣るもの」というイメージが消費者にも広がる悪循環にも陥った。

成田氏はこの状況について「凍結技術以外の要素に目が向けられていなかったためだ」と話す。

品質のよい冷凍品を生産するには、素材の仕入れ、前処理、凍結、保存、調理、消費までを一貫してシステムとして考える生産管理が欠かせない。この知見を広げるために、株式会社えだまめと同社最高技術顧問の鈴木教授は上記の管理手法を「システム冷凍」と呼び、提唱することにした。

「いくら凍結技術が優れていても、消費者の口に入るまでの工程のどこかに誤りがあれば品質を保つことはできません。その視点を業界全体に発信し普及させるところから取り組まねばならないと考えています」と成田氏。

%e3%82%b7%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%a0%e5%86%b7%e5%87%8d%e5%9b%b3システム冷凍の考え方

業界の認識を変えていく。そのために、えだまめは「冷凍技術コンサルティング」「商品開発」「マーケティング」の3本柱を事業の主軸に据えた。

生産から消費に至るすべてのサービスを提供することで「いいコミュニケーション」を築く

えだまめの事業領域は幅広い。第三者的な視点で最適な解決策を提供するには複数領域にまたがるサービスの提供が欠かせないからだ。

冷凍技術コンサルティングでは「システム冷凍」の考え方に沿って顧客の要望を整理し、凍結機の選定、冷凍品を活用したコストダウン、OEM、新事業の立ち上げなど顧客の課題解決に取り組む。

商品開発ではレシピやパッケージ、保管、輸送方法をはじめ商品にまつわるコンセプト立案までを請け負う。

また、マーケティング支援では、生産した商品を消費者に届けるための販売戦略の策定、パッケージやロゴの制作、撮影、WEBサイトやECの立ち上げ、PR活動を行い、生産から消費者へ訴求するまでの工程をワンストップで提供する。

「これまで大企業にしかできなかった取り組みを、地方の中小企業でも必要に応じてサービスとして選び取れるようにしたいと思っています。また、アドバイスをして商品を作ることをゴールとはせず、えだまめが日本全国から商品を取りまとめて販売するような「BtoC」の仕掛けも行っていきたいと考えています。こうすることで、生産から消費に至るあらゆるコミュニケーションの橋渡しができる唯一無二の企業になっていきたいと思っています」と成田氏。

これらを実現するために、東京海洋大学の鈴木徹教授、冷凍食品新聞の編集長として業界を長く見てきた冷凍ジャーナリスト山本純子氏、日本初の冷食専門店を経営する西川剛史氏をはじめ、多数の専門家とアライアンスを組んだ。案件ごとに柔軟にチームを作り、各企業に必要なアドバイスが提供できる体制を整えている。この点は成田氏の広告代理店時代の能力が存分に活かされるところだ。

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記事後編では、えだまめが冷凍事業で見すえる今後の事業展望、事業を展開するうえで求められる人材について話を伺っていく。

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株式会社エムアウトキャリアはBizna運営会社の株式会社エムアウトのグループ企業です。

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