他業界のスキルや経験も生きる、革小物の製造

時代とともに業界の構造が崩れ始め、OEM生産をメーカー各社は転換を迫られている。野村製作所では業界の活性化に取り組む一方、やる気のある若者の採用にも積極的だ。

今回お話を伺った籾山氏も自ら業界に飛び込んできた若手のひとり。

前職は靴の修理業で、製造にも携わりたいとバッグスクールで技術を学んだ。職人を募集している会社を探していて野村製作所を見つけ、サンプル室を希望して入社。現在は念願どおり、サンプル製作に従事している。クライアントから依頼を受け、プロトタイプをつくりながら製品の仕様を決めていく仕事だ。

「材料もかたちも同じでも、革は天然のものなので、仕上げ方は毎回、違う。日々、発見があっておもしろい」
と、ますますモノづくりの世界に魅了されているようだ。

しかし、さすがにモノづくり未経験者では難しい仕事ではないかと尋ねてみると、そうでもないらしい。

「財布のサンプル製作ではCADやイラストレーターも使う。手先の器用さやセンスと同じくらい、数字の計算も重要。たとえば、重ねた革を折り曲げる場合、内側と外側でカーブの大きさが異なり、必要な材料のサイズも変わる。計算が得意な方には、向いているのでは」
という。

メーカーでの仕事は幅広い。生産管理や資材調達など、製作以外にも適性を活かせる仕事はあるはずだ。
実際、元フレンチのシェフや元バイクのアクセサリーデザイナーなど、未経験で入社して活躍している人もいるという。

期待がかかる自社ブランドの育成

籾山氏はサンプル室に席を持つほか、前編で紹介した「日本革市」などでの販売やオンラインショップの管理運営も兼任する。

ブランドからの受注に頼らずに売上を立てていこうとすると、自社で製造から販売まで行うことになる。接客の経験があった籾山氏への期待は大きいようだ。

加えて、会社が可能性をかけているのが、オンラインショップで販売するオリジナルブランド。レディース向けの商品生産で培ったノウハウを活かし、野村製作所の名前を覚えてもらえるような商品をつくろうとしている。価格勝負に陥らない高付加価値商品なら、新たな事業の柱にもなり得る。


▲職人の手遊びから生まれたクジラ型のペンケース(7,560円)


▲カラフルで傷ひとつない仕上がりはレディース向け生産の経験が生きている。

「レディースの財布をやっていた会社なので、黄緑やピンクなどの色鮮やかな商品が得意。カラフルなオリジナル商品は売り場でも目を引き、若い世代にも購入いただける」と籾山氏は言う。

これから飛び込んでくる若手に期待されるのは、このオリジナルブランドを如何にインターネット上で魅力的に見せていくか、あるいはオンラインショップへどう集客し、実売につなげていくかといった、ベテラン社員では出せない発想や知識。メーカーとしての実力に、デジタル世代の知恵が加われば、自社ブランドも大きく飛躍していくはずだ。

自分で考えて動けば、会社の将来が変わる

「パソコンがいじれて英語ができなければ、これからはやっていけない。自分たち世代にはもうお手上げだ」
ぼやく風でもなく、ただ淡々と野村氏は言う。

時代は変わってきた。そして、これからもどんどん変わっていく。その現実が見えているからこそ、将来を考えて、若い世代の後押しに力を注ぐ。

「『会議をやって皆で方向性を考えろ』と言っている。会社の展望は若い世代でつくっていくのがいい。時代に適応するには、それが一番だ」と語る。

だから今、野村製作所に必要なのは自ら考え、動ける人材だ。

オリジナルブランドの育成は同社にとって初めての試み。業界でも先を行く成功事例などはない。指導する上司もおらず、先行事例さえなくても、自分でやれることを考えて実行していける人こそが、会社の未来を担っていけるようなブランドを実現できる。

職人とて例外ではない。栃木の工場では最終的にスキルを身につけて独立を目指すことになる。また、サンプル室であれば革の専門家としてクライアントへの細やかな提案や助言が求められる。いい商品をつくるために自分は何をすべきか、どうしたらお客様に喜んでもらえるのか、自分で考えなくてはならない。

だが、そうした社員一人ひとりの挑戦の積み重ねがきっと、野村製作所の、ひいては皮革産業の明日をつくっていくだろう。

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