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日本各地にひしめく飲食店、小売店、オフィスの内装は、デザイン性が高いものから、シンプルなものまでさまざまだ。しかし、その1つひとつの設計・工事には、一般的には少なくとも数百万円、平均で1千万円~2千万円の費用が必要になる。

大きな投資だが、果たして投資に見合ったデザインやクオリティになるのか、計画したスケジュールどおりに内装工事が終わるのかなど、施主が不安に感じる要素は多い。統一感のある店舗デザインが必要なチェーン店の内装ですら、各店舗の間取りや条件が違うため細かい調整が必要になる。

そんな施主の悩みを第三者的な視点から解決するサービスが、シェルフィー株式会社の提供する「SHELFY」だ。店舗・オフィスづくりの総合プラットフォームサービスとして両者のマッチングを請け負っている。

今回は、同社のクオリティマネジメント統括である松井将浩氏にそのサービス概要と組織体制について話を聞いた。

これまでは難しかった「希望に近い設計施工会社を比較し、決定する」プロセス

「SHELFY」は、デザイン会社や工務店から有料での登録を募り、その情報を事前に集めることによって、施主の希望に近い設計施工会社を紹介するサービスだ。

施主は自身の計画する地域や条件、予算、スケジュール感をSHELFYに登録することによって、提示した条件で請け負いたい複数の設計施工会社から見積りを取り寄せ、比較検討したうえで依頼をすることができる。

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このいわゆる「相見積りをとる」工程が、これまで施主に大きな負担となっていた。
日本の建築業許可業者数は50万社以上。その1つひとつが元請けになったり、下請けになったりしながら、さまざまな形式で内装工事を担当する。自社の希望を適切に内装に反映してくれる設計施工会社の候補を複数ピックアップするだけでもひと苦労である。加えて、見積もりだけでは、その会社が自身の希望にあったクオリティやスピード感を発揮してくれるかは不透明だ。

これまでは、不動産会社や知り合いが仲介に立って施主と設計施工会社を結びつけることが王道のパターンだったが、紹介の場合はある程度の信用が得られるものの、弊害も多い。

「紹介された設計施工会社に依頼すると、予算交渉が難しいことや、提案が気に入らなくても断りづらいこと、施行中や施工後に要望を言いづらいこともあるでしょう。一方で、自身で探した設計施工会社に依頼しても、引き渡されるまでは責任と誠意ある工事内容になるのか不安を抱えたままになります。これらを解消するには、やはり第三者的な視点からの一定の評価が必要です」

施主と設計施工会社に長時間ヒアリング。「よい」を定量化するSHELFY独自のノウハウ

施主に「よい設計施工会社」を紹介する。そのために「SHELFY」は、2つの仕組みを設けている。

まず1つは設計施工会社が登録する際には「SHELFY」の精査が必要としたこと。施主が設計施工会社を選ぶ際に最も気にするのは、工事途中での設計施工会社の倒産リスクだ。施工実績や価格競争力はもちろんだが、設計施工会社が倒産して工事自体が頓挫しては元も子もない。そのため、設計施工会社の登録時には数百万円の登録料を必要とすることで、倒産リスクのある資金余力がない設計施工会社とのマッチングを自然に避けるようにしている。

2つめが設計施工会社が案件へ参加する際の精査だ。施主は自身の業種に実績のある設計施工会社とのマッチングを望んでいる。そのため、「SHELFY」に案件が掲載され、設計施工会社が参加申し込みをする際にも料金が発生するようにした。すると、美容室の案件であれば、美容室の設計施工実績が豊富で選ばれる自信のある設計施工会社が多く応募するようになる。

こうした設計施工会社の登録の前提に加えて、施主からの依頼時や設計施工会社の登録時には、オペレーターによる詳細なヒアリングを実施する。要する時間は30分強、その項目数は平均して施主の依頼時で80数項目、設計施工会社の登録時には60数項目にわたる。

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しかし実は、施主へのヒアリングは80数項目では終わらないそうだ。

「案件の性質に沿って、施主に確認すべきことは変わってきます。SHELFYの強みとなっているのはまさにそのヒアリング能力。サービス開始時から積み上げてきたノウハウや、それを元に経験を重ねたオペレーターが項目以外の内容も会話を通じて引き出しています。設計施工会社についても同じこと。登録時の確認には定性的な点を大事にし、ヒアリング時に気が付いたことをデータとして蓄積するようにしています」と松井氏。

「また、施主からは成約、竣工、オープン後3か月後の各タイミングで設計施工会社についてのフィードバックもいただき、施主の声もデータの蓄積するようにしていますね」

施主・設計施工会社からヒアリングした内容は定量的にできる項目、定性的に判断する項目に振り分けられる。前者はシステムを使った選定を行う基準として使われる。その後、ヒアリング担当者は定性的な情報をもとに、ピックアップされた設計施工会社のなかから、より施主に最適な設計施工会社を判断する。

この方式は創業から2年間ほどかけて、施主や設計施工会社とやりとりした肌感覚を社内で議論し、言語化しながら作り上げられた。定性的な情報は可能な限り定量化したうえで、エンジニアがアルゴリズムとして設計・開発していった。

業界の色に染まらない「第三者的視点」の精度をヒアリングの定量化で上げていく

ヒアリング内容を定量化し、アルゴリズムに組み込む基準は、あくまで建設業界の色に染まっていない「第三者の視点」を貫いた。

シェルフィーには建設や不動産業界出身者がほとんどおらず、IT、Web等の業界出身者や新卒で構成される企業だ。松井氏も創業から3か月ほどのシェルフィーに新卒で飛び込み、ビジネスの土台作りに関わってきた。その際には大学で学んだ統計学の知見が、事例の定量的な落とし込みに大いに活きたそうだ。

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現在では実際に施主の元や現場にまで出向く必要がないほどサービスが安定してきましたが、初期は案件ごとに引き渡しの様子を確認に行っていました。そこで感じたことを皆で持ち寄っていかに定量化できるか話し合うんです。その経験の積み重ねがあったからこそ、依頼主の要望に的確に応えられるレベルまでサービスを引き上げることができたのだと思っています」

加えて、最近ではマッチング事例が蓄積したことによって、完成品への評価も基準として活用できるようになってきた。引き渡された内装の質だけでなく、工事内容や依頼主とのやりとり、依頼主の細かな要望に応えられたかなど幅広い基準で点数をつけ、設計施工会社を大きくわけて9カテゴリ、60数項目の尺度でランク付けしていく。

「他業種出身の我々の視点だからこそ、定性的な評価である横軸と定量的な評価である縦軸が機能するマッチングサービスを作ることができたのではないかと思います。最近はサービスとして全工程まで見守らなければならない案件はなくなってきましたが、それでも「人」の視点はサービスの根幹。対話や熱意の共有、現場に対するリスペクトは今後も大切にしていきたいと思います」

他業種出身者ならではの視点や方法で、これまで尺度を持ち込むことが難しかった業界に選択の基準を持ち込んだ「SHELFY」。登録設計施工会社は300社を超え、2016年には発注総額が100億円突破した。今後もさらに規模を拡大することで登録会社と依頼主の獲得を目指す。

後編では、その拡大のための人材獲得戦略について話を聞いていく。

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