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2015年に東証マザーズに上場、2017年に東証一部に市場変更。華々しい成果をあげて成長を続ける元専門出版社がある。鎌倉新書だ。

現在ではユーザーと葬儀社を結ぶ「いい葬儀」をはじめ、「いいお墓」「いい仏壇」「看取り.com」「遺産相続なび」「遺品整理なび」などのマッチングサービス、「セラヴィ」「終活情報局」では終活の情報発信・相談受付、ライフエンディング業界へのセミナー・コンサルティング、月刊誌・単行本・販促資料の出版事業など、幅広い事業を手がけている。

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代表取締役会長の清水祐孝氏は、1990年に当時社長だった父に請われ、社員数人の仏教と葬儀・仏具関連の専門出版社だった同社に入社した。その後、業績を改善するために何度もの事業の拡大を試みるなかで、現在の体制を築き上げるに至った。

事業の拡大は清水氏が同業界内でひたすらに事業者や消費者の声に耳を傾け続け、サービスを開発してきた軌跡でもある。そこにはどんな苦労や気づきがあったのか。現在の鎌倉新書になるまでの経緯と今後の事業展望について聞いた。

業界が欲しているのは出版物の形ではなく「情報」。事業者と接するなかでの気づき

元は証券会社で勤務していた清水氏。入社当時、鎌倉新書は葬儀・仏具関連業界でよく名を知られてはいたものの、出版事業の経営は頭打ち状態だった。父の会社の業績を改善しようと入社を決意した清水氏は頭を抱えた。

「まずはやれることを」と始めたのが葬儀会社や墓石・仏壇業者などを対象とした販促物の企画・制作。業界をよく知る専門出版社が制作した販促物は好評を得て、入社して2、3年経つと少しずつ業績が伸びてきた。

そうして葬儀会社や墓石・仏壇業者の業界誌としての取材や販促物制作でやりとりを繰り返すうち、清水氏の頭にはある考えが浮かんできた。

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「事業者さんが真に欲しているものは、印刷された『書籍』や『雑誌』ではなく『情報』なのではないか、と考えついたのです。書籍や雑誌での発信だけでは誌面に限りがあり、お客様の求めるとおりの情報をお渡しできない。ならばそれをお渡ししようと、セミナーやコンサルティングアドバイザリー事業を始めました」

業界の横断的な情報を持つ専門出版社のセミナーやコンサルティングは好評を得た。「経営会議で業界展望やトレンド等を説明してほしい」とリクエストする企業もあった。

葬儀・仏壇仏具業界は1件につき総計して数百万の消費が動く大きな消費市場だ。その市場規模は少なく見積もっても2兆円。その手ごたえを清水氏は感じはじめていた。

インターネットの活用に迷走。コンテンツ読者からの電話に活路を見出す

セミナーとコンサルティング事業に活路を見出した清水氏は、自社の業種を「出版」ではなく「情報加工会社」と再定義した。出版することだけをゴールにしなければ、もっとさまざまなサービスを行えるはずだ。 

折しも、ウィンドウズ95が発売され、インターネットが爆発的に普及する時代に差しかかっていた。情報を発信するツールとしての可能性を感じた清水氏はさまざまなセミナーや勉強会に通い、必死にその活用方法を模索した。2000年にはマナーをはじめとする葬儀に関する総合情報サイト「いい葬儀」を公開。発信を始めたが、マネタイズをするいい方法が見つからない。2年ほどは運営費を持ち出してばかりの時期が続いた。

「そんなとき、サイトの読者から電話がかかってきたんです。『亡くなった父の葬儀を行いたいが、自分はこの地域から離れて何年も経っており、地域の葬儀社には不案内だ。周辺でよい葬儀社はないか。このサイトを制作しているあなた方ならよくご存じでしょう』と」

早速、その地域の葬儀社を紹介したところ、問い合わせた側、葬儀社側双方から大いに感謝された。

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「葬儀社も顧客の新規開拓の方法に悩んでいるのだと実感しました。確かに、葬儀社が知名度を上げるには広告くらいしか手段がない。一方で、親族を亡くした人は慌てている。亡くなった方に合った葬儀をしたいが、ゆっくり選んでいる時間がないから手当たり次第に情報を探す。そこにうまく広告を出していくことは難しいですよね。両者が悩んでいるならマッチングをすればいい」

こうして、鎌倉新書の数々の供養業界・ライフエンディング業界のマッチングサービスが生まれていった。

アイデアを得る要は24時間対応のカスタマーセンター

鎌倉新書はサービスに応じて、最長で24時間365日対応のカスタマーセンターを設置している。墓や仏具ならば比較的余裕をもって検討できるが、葬儀に関しては亡くなってすぐの対応が必要だ。病院の霊安室に遺体を長く置くわけにはいかず、都市部のマンションでは周囲への気遣いから遺体を運び込みづらい。消費者は問い合わせフォームを通じた回答を待っていられない。

「インターネットはあくまで弊社のサービスを見つけていただくための手段。お電話で寄せられるご質問にスタッフがていねいに答えていくことで、お客様の課題を発見し、解決する手段を提案します。条件に合わせた葬儀会社などをピックアップするシステマティックなご案内はもちろん、『お坊さんは本当に必要か』『関係者にいくら包んで渡すべきか』『戒名をつけるときはどんな資料が必要か』など、社会通念上のご質問についても、一般論をもとにお答えしています」

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鎌倉新書のサービスを利用するのは、都市圏に住み、親や親族を亡くした人が大半だ。

「鎌倉新書のサービスは、コミュニティが機能している地域ではあまり必要ではないでしょう。お寺との付き合いがあり、近隣住人の葬儀に頻繁に出席する地域であれば、自然と情報や常識は手に入る。一方、都市圏で生まれ育ったり、地方から都市に出てきたりした人は、葬儀に関する情報を手に入れることが難しい。そんなお悩みをカスタマーセンターで伺うことで、データを蓄積し、サービス品質の向上や新しいサービスの開発へとつなげていきたいですね」

厚生労働省の統計によれば、今後亡くなる人の数は年に約2万人増加する。清水氏はそこへ、従来のマッチングビジネスをより伸ばしていくと共に、今後の余生と人生の最後を自ら考える人々のための新しいサービスを展開していく予定だ。

その取り組みの1つが自身の生きた証をデータや文章で残すことで、遺された親族へ記録をつなぐサービス。このサービスには鎌倉新書の原点となる出版事業のノウハウが存分に活かされている。

「まだこの業界で弊社が獲得しているシェアはわずか1%。既存のサービスでシェアもまだまだ伸ばせる余地がある。同時に、サービスの幅も広げていきたいと考えています。今後は『エンディング』と呼ばれる業界の全体をプランニングできる体制を整え、鎌倉新書の知名度を消費者へも高めていきたいと思っています」

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