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企業間取引でもはや当然の習慣になっている「掛売り」。企業は商品やサービスの対価を一定期間後に支払う「掛売り」を行うことで、さまざまな支払いや請求業務を取りまとめることができ、効率的に事業活動を行うことができる。

また、大口の取引においては、支払いまでの期間のキャッシュフローを得ることで手元資金を豊富にし、より一層の事業拡大をのぞむことが可能だ。

しかし、この「掛売り」は取引相手に対する「信用」が前提だ。そのため、買い手がこの「掛売り」を望んだとしても、できないことは多々ある。

この課題を解決するサービスが、2011年にサービスを開始した「Paid」。早くて当日、最長で3日という驚きの短期間審査と請求代行・売掛金回収保証を行うことで、幅広い事業者が「掛売り」を行うことを可能にする。

今回は株式会社ラクーンで取締役副社長として「Paid」事業を統括する石井俊之氏に話を聞いた。

日本全国の多様な取引先と小口の注文。Web取引では「掛売り」が困難

株式会社ラクーンは、メーカーの過剰在庫品を取りまとめて卸すBtoBサイト「オンライン激安問屋」を長く運営してきた企業だ。

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ファッション・雑貨業界において過剰在庫品はセールの目玉となる品物。それがインターネット上で一覧化され、選んですぐ注文できる手軽さで話題となったサービスだった。

長年「オンライン激安問屋」を運営するうちに、新商品や定番品も扱ってほしいという要望を受けるようになり、サービスを改変。現在のファッション・雑貨業界のメーカーと小売店がインターネットで卸・仕入れを行うことができるサイト「スーパーデリバリー」を運営するようになった。

「Paid」のサービスを作り上げたきっかけも、この「卸・仕入れ」の顧客からの要望だった。

「「オンライン激安問屋」や「スーパーデリバリー」の注文主は事業者ですので、掛売りをしてほしいという要望は当初からありました。しかし、サービス開始当初の決済手段はクレジットカードのみとしていました。

なぜなら、ファッション・雑貨用品を仕入れる大半の事業者は個人営業店で注文が少額であることも多く、インターネット問屋ゆえに北海道から沖縄まで広範囲から注文が来るからです。例えば、九州にある事業者の数万円の売掛金が焦げ付いたからといって、飛行機に乗って回収にいけるかといえば、費用対効果を考えても現実的でない。そのため、すべての顧客には、統一でクレジットカード決済をお願いしていたのです。

しかし、法人カードを持っていない顧客も多く、要望は常に感じていました。そこで、なんとか掛売りを実行するために、2004年に金融機関と提携し、「スーパーデリバリー」で掛売りを始めたのです」

「1つの商品が爆発的に売れない」。嗜好が多様化する現代だからこそ必要とされるサービス

掛売りを始めた効果はすぐに表れた。導入後、たちまち売り上げは上り調子となり、数百社程度だった会員数も、2014年には4万社を突破するまでになった。

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「現代においては、小口取引先への掛売りを提供するサービスが欠かせないのだと、確信しました。世の中の環境がインターネットの出現により劇的に変わってしまったのです。

消費者の価値観が多様化し、大小さまざまなECが存在する現代では従来の枠組みで商売をすることはもはや難しいでしょう。

以前は、特定の商品を大手メディアが取り上げたり、流行がもっとはっきりしたりしていて、特定の商品が爆発的に売れる時代でした。小売側はその品物を近隣の問屋街で仕入れる。仕入れはもちろん掛売りです。ただ、卸業者が新規の小売業者と商売を始めるときの信用調査は簡単でした。近隣なので担当者が様子を見に行ったり、未回収のときは取り立てたり、事情を確認したりすればいいのです。以前はそうやって「信用」が構築されていました。

ただ、最近は消費者の嗜好の多様化の影響を受けて、各小売業者の仕入れ額はどんどん小さくなる傾向にあります。1卸業者から1万円しか仕入れないことも普通になってきました。そんな金額のために小売業者に出向いていたら仕事になりませんよね」

「スーパーデリバリー」で提供していた「掛売り」は、そんな卸と小売りの間の葛藤を解決するためのものだ。そうして、サービスを運営するうちに、同様の悩みはファッション・雑貨の卸・小売業者間に留まらないことに気がついた。

そこで、2010年11月、それまで掛売りの保証を委託していた金融機関である株式会社トラスト&グロースの株式の100%を取得し、子会社化。2011年10月にはあらゆる事業者を対象としたBtoB後払い決済サービス「Paid(ペイド)」を2011年10月に開設した。

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請求業務を請け負うことで、営業担当者が「攻め」に注力できる環境づくりを支援

「Paid」のサービスはシンプルだ。企業間で掛売りを行った場合、「Paid」が買手企業の「与信審査」を行い、問題なければ売手企業の「請求業務・代金回収」を代行し、「売掛金の回収保証」までを行う。

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「Paid」を導入することで、企業は小口の取引先の与信管理をする必要がなくなり、取引先の幅を広げることができる。営業担当者は請求書の発送や入金確認、売掛金の回収に煩わされることもなくなる。

サービスに加入するための信用調査については「早くて当日、遅くても3日」という驚異的なスピードで完了する。長年小口取引先への卸や掛売りサービスを行ってきた独自のノウハウを活かして、システムと蓄積用法を使った短期間での調査を可能にした。売掛金の回収リスクは「Paid」が保証するため、未回収リスクもなくなる。

「Paid」のサービスの狙いは、請求業務と回収業務を代行することで、契約企業の営業担当者が新規案件を獲得することに集中できる環境をつくることだ。

「これまで、請求や回収業務は営業担当者が「やって当然の業務」と考えられてきました。しかし、取引開始の際の信用調査、請求書の発行、掛金振込の確認、未回収掛金の回収はかなりエネルギーのかかる仕事。さらに、現金払いをお願いしたり、未回収金の督促をしたりすると取引先との信頼関係を壊しかねない。請求は営業にとって気が引ける業務ともいえるのです。これは企業にとっても大変な機会損失なのではないでしょうか。

我々に委託していただければ、こちらも請求業務でスケールメリットがだせるようになる。そうして、契約企業とwin-winな関係を築いていきたいと思っています。そのため、固定費はいただいていません。すべて取引金額に比例した従量制を採用しています」

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現在、この理念に賛同して「Paid」サービスに加入した企業は2,400社を超えた。サービス開始当初は請求業務を委託し、掛売りを導入するメリットや意義を説明して回っていたが、最近は企業のほうからサービスの問い合わせがあり、加入につながることが大半になった。

「サービスも日々改善を重ねて使いやすくしていますし、かつ「あの企業も使っている」という「信用」も得られてきたのではないかと思います。だんだん、世の流れが決済業務は外注して当たり前になってきたな、と感じていますね」

BtoB取引の経験を活かしながら、サービスを開発し、契約企業の数を増やすことで、「信用」を育ててきたラクーンの「Paid」サービス。その業務の「現場」を支えてきたのは真摯でストイックな人材だという。

記事後編では、「Paid」サービスに携わるスタッフに求められる資質とラクーンが現在必要としている人材について紹介する。

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