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社会貢献は実利と相反するもの。そんなイメージを一新させるサービスが2017年に誕生した。
株式会社TAASが立ち上げた「e-Pod」事業は、企業から回収した古紙を溶解処理し、販促物や日常業務でも使えるノベルティに加工して還元する世界初のリサイクルを可視化した「リアル×Web」を融合させたサービス。ゴミの処理とリサイクルを組み合わせているため、企業にとってはエコな取り組みをしつつ取り組み自体が自社のブランディングに繋がるような自社PRにも繋がる。
リリース直後から数々のWeb・TV・ラジオをはじめとするメディアでとりあげられ、注目を集めている「e-Pod」について、発案者でもある株式会社TAAS創業者である代表の大越隆行氏に聞いた。

古紙回収のその先に。エコな取り組みで自社ブランディングを支援

サービスについて紹介する前に、まずはこちらの写真を見てほしい。
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コピー用紙やノート、メモなど、「e-Pod」を利用すると、もらえる還元アイテム。
※このeマークのロゴが自社のロゴやサービスロゴなどへ変更でき、販促物として活用できる

ロゴをあしらった、シンプルなメモ帳やコピー用紙。毎日の業務で使える、この便利なノベルティアイテムは、実は、2017年にスタートした「e-Pod for Business」を導入した企業が資源回収に出した紙の一部からできている。

「e-Pod for Business」とは一体、どのような仕組みなのか。
導入企業は送られてきたe-Pod専用ボックスを利用し、まず、オフィス内の不要な紙を回収する。箱いっぱいに紙が溜まったら、インターネット経由で集荷を依頼すると、「e-Pod」と提携している日本郵便が、その古紙を回収していく。導入企業から集まった古紙はリサイクルへと回され、ノベルティとして自社のロゴやサービスロゴ、ブランドロゴなどを入れて、還元アイテムとして再生される。
導入企業は、Web上のマイページから希望するノベルティを選ぶだけで後日アイテムが届くシステムだ。このユニークなビジネスモデルは、既に特許も出願済みだ。

「e-Pod for Business」の料金プランは3種類。プランによって、回収できる紙の量やもらえる還元アイテムの種類が異なる。
リサイクルへの協力、再生紙の利用など、環境への配慮した活動をしようとすると、意外にコストがかかる。動機がイメージアップだけでは、大企業でもなかなか続けるのが難しい。
新たに何か始めようと思っても、社内で稟議を通すのもひと苦労だ。

しかし、「e-Pod for Business」では料金プランのなかに、回収にかかる送料、書類の廃棄費用が含まれており、後で、アイテムがかえってくるので消耗品の経費も節約できる。また還元アイテムの表紙に印字されたロゴを自社のロゴ入りになっていることで「販促費としても落とせる」と好評だ。元々あった予算ならとりやすい上に、総務、マーケティングとポケットも増える。

活動に取り組むことですぐに実利も得られるのなら、企業としても導入しやすい。
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「e-Pod for Business」のスタートをふりかえり、代表の大越氏は次のように語っている。

「企業では当初、廃棄処理業者や機密処理業者などとの比較やリプレイスとして見られることが多かった。だが、古紙回収で終わらず、再生して還元するまでが「e-Pod」。CSR活動の一環として取り組んでいただけることを強く打ち出し、徐々に理解が進んできた。今では、古紙回収ではない、「e-Pod」という新しい活動が1つのブランドとしてご認識いただけるようになってきている」

「大量の紙をどうにかしたい」という日々の社会課題、ほとんどの企業が持ち合わせているニーズと「どうせ廃棄しているなら企業として有効な取り組み、効果的な取り組みに変えたい」という望む企業が日に日に多くなってきている。そういったニーズを解決するのが「e-Pod for Business」なのだ。

「e-Pod」がデザインにこだわる理由

eのロゴをかたどったダイヤモンド型の専用のボックス、そのまま商品としても売れそうな、おしゃれな還元アイテム、そして、きれいな写真を大きく使った印象的なWEBサイト。
「e-Pod」は、自社商品のビジュアルに強いこだわりを持っているように見える。聞けば、専用ボックスは規格品ではなく、大越氏が自らデザインを起こし特注したもの。この専用Box自体も意匠出願しており、サービスの細部にいたるまで「デザインする」ということを徹底している。

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回収用の専用ボックス。そのまま机の上に置いても、オフィスのイメージを損なわないデザインだ。

そこまでして、この形状にこだわったのはなぜだろうか。

「普通の箱のかたちにしてしまうと、ただの段ボールだと思われてしまう。『これは何だろう?』と目を惹くデザインにしたかった。また、A4の紙を放り込んだ時に、真ん中の角にあたってスルッと箱におさまるように計算している」

目立ちやすさ、使いやすさなど、明確な意図があってデザインをつくり込んでいるのだ。

「ブランドを確立させるため、プロダクトもサイトも、ユーザーが触れるもののデザインには神経を尖らせている。書類処理業者との差別化を図り、「e-Pod」ブランドとして多くの方に広めていきたい」

「e-Pod」というネーミングはエコロジカルポッドの略称だが、これにも狙いがある。短く語呂のいい「e-Pod」ならば、愛称のように口にしてもらいやすい。

顧客に「e-Pod」を識別させるというブランディング意識は、サービスの隅々まで行き渡っているのだ。

企業である以上こだわりたい、もう一つのこと

「e-Pod」事業は「e-Pod for Business」として企業向けのサービスからスタートしたが、事業を発想したきっかけは、自宅でチラシを捨てる時に心をよぎる「もったいない」という気持ちだった。

「マンションのポストに毎回たまっているチラシ。もう何が入っているかも把握していて、中も見ずに捨ててしまう。おそらく他の部屋の住人も同じだろう。この無駄をもっと自分たちの生活に密着できるものに還元できないか」

そこで、大越氏はサービスとして成立するかどうかを確かめるため、フィジビリティスタディとして、クラウドファンディングを活用した。数十名を対象にテストしてみたところ、思いのほか、反響があった。そこで、ただ捨てるだけのチラシをどうにかしたいというニーズがあると、大越氏は確信した。

だが、同社は個人版ではなく、先に企業版をリリースした。まず、企業版で収益性を高め、会社としての基盤をかためようという戦略だという。

シュレッダーを使っている企業は多いし、コピー機のないオフィスなど全国を探してもほとんど見つからないだろう。企業で毎日、排出される古紙の多さは、個人が捨てるチラシの量の比ではない。紙の使用量から考えると、メリットは企業の方が大きい。

導入企業とは月額課金の年間契約を結んでいるため、毎月、固定で収益が確定する。リアルとWebをかけあわせたサービスのなかでも、非常に高い利益水準を確保できているビジネスになっているという。

大越氏は明確に言う。「我々は社会貢献を目的とするNPOではない。」企業として古紙再生に取り組むからには、収益を出し続けることは当然。多くの人が使ってくれたという実績だけでは、実利も兼ね備えた企業とはいえない。

「インターネットやアプリサービスで、ダウンロード数ナンバーワン、ユーザー数ナンバーワンを標榜する会社も多いが、蓋をあけてみたら会社自体は赤字というケースは少なくない。ファンが増えるのはいいことだが、マネタイズできていることが大前提」と大越氏は話す。

個人版も2019年にはサービスを開始する予定で、すでに開発には着手している。
一時のムーブメントで終わらせず、「e-Pod」事業に継続的に取り組んでいくという大越氏の決意は固い。

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