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ユニオンテックは「内装事業」と「インターネット事業」の2つを主軸とする建設×ITの会社だ。クロス職人の創業社長が立ち上げた建設会社だったが、自ら革新を求め「IT」へと大きく舵を切った。

2016年から同社は建設業界の課題解決と業界の発展を目的とした、オンラインプラットフォーム「SUSTINA(サスティナ)」を運営している。同社は2018年3月14日にリリースした工事マッチングアプリ「CraftBank(クラフトバンク)を「建設業界の仕事受発注のプラットフォーム」への構想の足がかりとしてリリース。前編ではCraftBankの立ち上げのきっかけと建設業界の課題、そして展望をうかがった。

2つのサービスの事業開発を牽引するのが、取締役副社長の韓英志氏だ。リクルートホールディングスで数々の新規事業開発やM&A、ひいてはM&A先の海外企業で経営も担当していた剛腕の持ち主だ。数えきれないほどのビジネスを見てきた末に、韓氏は次なるステージに建設業界とユニオンテックを選んだ。

「社会課題を起点にビジネスを行う」という“リクルートのDNA“は、建築業界をどのように前に進めていくのであろうか。後編では、建設業界の課題を深掘り、ユニオンテックの業界の中での立ち位置、そして同社が求める人材にも言及していただいた。

海外新規事業、企業買収を経験したリクルートのエグゼクティブマネージャーが「建設会社」へ

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ユニオンテックの本社エントランス。ファサードには建設資材をとりいれている

建設業界の市場規模は毎年、約50兆円──。途方もなく巨大な市場なのは言うまでもない。道路工事などの政府による建設投資だけでなく、身近にある家屋やオフィスの内装にいたるまで、大小を問わず「身近」に存在するビジネスだ。

しかし、建設業では人材不足が続いている。特に現場の職人不足が慢性化している企業は、必要な技能者を確保できなかったことによる工事中断で資金繰りが悪化し、倒産に至ることもあるという。

その原因は、「現場の職人の労働環境にある」と韓氏は指摘する。市場規模はたしかに大きいが、仕事の発注において、場合によっては元請けから最終的な下請けまでに10回程度も中間業者が入る構造がある。すると、現場の職人にわたる頃には作業賃は微量になってしまうのだ。

業界構造による低賃金、人材不足による重労働が続くと、職人を志す人も少なくなっていく。韓氏は「実は、僕の小さい頃の将来の夢は大工さんだったんです。周りにもそういう友達はいました。でも現実、今は誰もなろうとしないんです」と悲しげな表情で話す。

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韓氏は東京大学大学院工学系研究科にて「建築学」を専攻。卒業後は人材サービス系の企業へ進み、数々の新規事業に携わった。かつて修めた学問とも通ずる今回のチャンレンジだが、真剣に話を切り出す表情と声のトーンから、建設業界にかける思いや決意の固さをうかがい知ることができた。

しかしながら、数々のビジネスの事業開発や投資を行い、幾千ものビジネスを見てきた韓氏には、他にも多くの選択肢があったはずだ。なぜ建設業界と「ユニオンテック」を選んだのか。その思いの裏側には創業社長、大川祐介氏の姿があった。

大川氏はもともとクロス職人としてキャリアを積み、創業したユニオンテックは内装仕上げ工事業からビジネスをスタートしている。創業から18年がたち従業員が120人となった現在も、現場の前線に立って仕事をしているのだという。

韓氏は大川氏の求心力について、こう語った。

「大川は、クロス職人からスタートし、事業を大きくしたにも関わらず、自分ひとりでは業界を変えることができないと言っています。普通の経営者ならこれまでの実績が既に成功体験になるはずなんですが、謙虚な姿勢を持ち、自ら自分で作ってきた組織や業界の常識を覆そうとしています。急成長を目指し、ポジティブに自分たちの成功体験を否定するんです。私はこれまでに世界中、合わせて2, 000人以上のCEOを見てきましたが、そんな経営者は見たことがありません」。

世界で戦った韓氏の知見から、建設業界の未来とは

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実は、ユニオンテックのITビジネスは、ひとつの成果をあげている。企業検索、求人、イベントサーチなど、建設業に必要なあらゆる情報を集約しているオンラインプラットフォーム「SUSTINA(サスティナ)」は、BtoBの「サブスクリプション(定期購読)型」のビジネスモデル。月額使用料は個人事業主で5,800円、法人で9,800円。2018年3月現在、50,301人、5,827社が利用する。

建設市場には企業が60万社あると考えると、まだまだ建設×ITの市場には「ブルーオーシャン」が広がっているのだ。「 SUSTINA」の掲載数を増やし、プロダクトを磨いて継続率を高めることが、そのまま売上へとつながる。

前編で紹介したCraftbankのリリースも追い風にしたいと考えるユニオンテックにとって、「これからの成長のためにどのような人材を求めるか」と尋ねると、韓氏は「一言で言うなら、“消費されるWEB業界に飽きた人”の経験を持つ人だ」と即答した。

流れの速いWEB業界では、短期間で大半のサービスが消費されている。新規事業に一喜一憂しながらサービスをつくることに違和感を感じているような人が少なからずいるのではないだろうか。「そのような人たちに、長期的に社会に対して大きなインパクトを与えるサービスをつくることのやりがいと楽しさを味わって欲しい」と韓氏は言う。
社会の大きな課題は、一朝一夕には解決することはできない。その中で、正解のない課題に対して、自分なりに仮説検証を繰り返しながらプロダクトをつくるディレクション力が求められる。

韓氏は「彼らが働く環境を改善することは日本全体にとって急務であり大きな課題です。現場や企業のニーズをしっかり汲み取りながら、スピード感をもって課題と向き合える人と一緒に仕事がしたいですね」と一言添えた。

社会的意義の大きさが人材を惹きつける

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一方で、韓氏は知り合いを中心としたダイレクトリクルーティングにも取り組む。声をかけると、ユニオンテックに興味を持ってくれる人材は多いという。「興味を示す人には2つのパターンがありますね。ひとつは入社5年目前後、もう一方はエグゼクティブ人材です」。両極端の人材に見えるが、いずれもユニオンテックの「社会的な意義」が彼らを惹きつける。
「複業や業務委託のかたちでも携わりたい」と声をかけてくれる優秀な人材も増えているそうだ。発表前の段階だが、名だたる企業での経験を持つ人材もジョインすることが決まっている。

また、ユニオンテックとしても複業を解禁している。急成長過程にあるベンチャー企業では副業が許されていないことも多く、その理由にはマネジメントの困難さも挙がる。韓氏は「懐の深さとミッションでマネジメントする」と答えた。

「SUSTINA」の事業コンセプトは、建設業界を変える「次世代型組合」。情報化や事業化は手段であり、業界が長年抱えている多重の請負構造を改革することを実現していくことをミッションとしている。

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機会がどこにでもあり、かつ人が足りていない世の中では、優秀な人材は引っ張りだこだ。「直接雇用」の形で参画をお願いするのではなく、複業や業務委託の形でも参画してくれるなら、願ってもないことなのかもしれない。

そんな中では、デジタルではないマネジメント──つまり、会社がビジョナリーであり、ステークホルダーが仕事に対して、気持ちが前のめりになる会社をつくることが、彼らを引き寄せる引力になっていくはずだ。そのビジョンを達成するための業務形態は正社員に留まることなく、ユニオンテックに所属する期間も問わない。

「これから会う人たちも『やりたい』と腹落ちしたときに参画してくれれば良いし、同じくらいにポジティブに辞めていっていくのなら嬉しい。30年後は今いるメンバーの半分くらいは独立していてほしいですね」と答え、韓氏はインタビューを結んだ。

ロマンとソロバン──。「社会課題の解決」と「利潤の追求」のバランスを表す比喩として、よく使われる言葉だ。まさにユニオンテックはその役割を担う、業界首位のリーディングカンパニーを目指している。

代表の大川氏が築き上げてきたビジョンやビジネスの下地を「ロマン」だとすると、そこに経営を知る韓氏が参画することは「ソロバン」に当たるのだろう。かつて本田宗一郎が、経営者である藤沢武夫と出会って本田技研工業が成長していったのと同じように、もしかするとこのふたりの出会いは、歴史を変える数奇な出来事だったのかもしれない。

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株式会社エムアウトキャリアはBizna運営している株式会社エムアウトのグループ企業です。

文・奥岡権人/長谷川賢人

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