安全靴は、工事現場・建築現場では必ず着用しなくてはいけない靴です。
仕事中の転倒や突き指、足への落下物から守ってくれる安全靴は、現場で働く人にとっては欠かせないパートナーです。
ただ、最近では安全靴としての性能を担保していない安全靴も出回っているので、
と心配になってしまうこともあります。
安全靴には、JIS規格のものJSAA規格のものがありますけど、本当の意味で「安全靴」と読んでも良いものはJIS規格の安全靴だけです。
もくじ
安全靴を着用しないと法律違反?!
現場だと、絶対に安全靴を履くように求められます。
建築現場だと安全靴を履いてないと、ゼネコンさんにその場で帰らされることも普通にあります。
理由は、労働安全衛生規則(第558条)によって事業者、労働者共に作業環境に応じて安全靴等の着用が義務付けられているから。
労働安全衛生規則 第五百五十八条
事業者は、作業中の労働者に、通路等の構造又は当該作業の状態に応じて、安全靴又はその他の適当な履物を定め、当該履物を使用させなければならない。
作業環境によって安全靴に求められる性能は変わります。
作業区分は、
- 超重作業用(U)
- 重作業(H)
- 普通作業(S)
- 軽作業(L)
4つの作業区分に分かれますので、その区分に合わせた安全靴を着用する義務があるのです。
※超重作業用が追加
旧版では重作業までだった作業分類に「超重作業用」が追加されました。
超重作業用のつま先保護性能は耐衝撃性200J。
安全靴(あんぜんぐつ、Safety boots)とは、安全靴は日本工業規格(JIS)において「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定義されています。
JIS規格の安全靴を必ず履かないといけないのか?
一般的に現場で見かける安全靴には2種類あります。
- JIS規格(安全靴)
- JSAA規格(プロテクティブスニーカー)
性能については、近しいものがたくさんありますけど。
JIS規格の安全靴は、安全性が高く。JSAA規格(プロテクティブスニーカー)は、おしゃれなデザインなものが多いです。
ほとんどの現場では、どちらかの規格の安全靴・プロスニーカーを着用していればOKです。
ただし、安全面に厳しく指定されている現場ではJIS規格の安全靴を着用しなくてはいけないこともあります。
JSAA規格(プロテクティブスニーカー)の性能
耐圧迫性 | 耐衝撃性 | 耐剥離性 | |
A種 | 10±0.1kN | 36cm | 甲皮:革またはゴム300N以上 |
B種 | 4.5±0.04kN | 15cm | 甲皮:革またはゴム250N以上 |
JSAA規格のプロスニーカーは、普通作業用や軽作業用の安全性は確認されています。
企業で安全靴を支給しないのはなぜ?
企業によっては、指定の安全靴を従業員に配っている会社もあります。
ですが、会社によっては安全靴は指定するものの支給してくれない会社もあります。
労働基準法では就業規則に定めがある場合は、安全靴の購入については労働者の自己負担にさせることが認められていることがあります。
理由は、靴は人によって趣味嗜好があること。労働時間以降も安全靴を着用して行動することがある。などですが、労働安全衛生法では、事業者は労働者に安全靴その他の適当な履物を定め使用させる義務がありますので安全靴にこだわりがない方は、会社に聞いてみると良いかもしれません。
安全靴を着用せずに仕事中に労働者が怪我をすると、会社は厳しい処分を受けなくてはいけないので掛け合えば安全靴を支給してくれる可能性もあります。
中敷も規定が「JIS T8101:2020」から変わった
今まで、安全靴の中敷は自由に変更することができましたが、JIS規格の安全靴の安全性を担保するために中敷を交換する場合には、同一メーカーの同等品に限定するように規定されました。
安全靴は性質上、臭くなりやすいので中敷を交換することで長持ちさせていた方も多いと思います。
中敷(インソール)を変更する場合は、注意するようにしましょう。
JIS規格の安全靴は審査が厳しいから安全性が高い
JISマークは安全靴だけではなくいろんな製品でみる規格です。
安全靴の場合は、「JIS T8101」の認証を受けた製品のこと。
国の登録機関のテストに合格し、JIS規格に適合するという認証を受けた製品にだけ表示できる認証マークで信頼性は高いです。
JIS規格の認証を取得するには、
- 製造工場の品質管理体制の審査
- 製品がJIS規格に適合するかの試験
に通らないといけません。
さらに、認証取得後は3年に1回以上、認証維持審査があるので品質と製品の安全性を維持することが求められます。
出典:安全靴の基礎知識
安全靴に求められる性能
安全靴のJIS規格は耐衝撃、耐圧迫、表底のはくり抵抗の基本性能試験がありそれぞれに合格すると安全靴として認められます。
- 耐衝撃:つま先に物が落ちても、規定以上の隙間を確保してつぶれない
- 耐圧迫:つま先が押しつけられても、規定以上の隙間を確保してつぶれない
- 表底のはくり抵抗:靴の表底と甲被が強い力で引っ張っても剥がれない
耐衝撃性能は、性能によって種類分けされています。
- 超重作業用の「U種」
- 重作業用の「H種」
- 普通作業用の「S種」
- 軽作業用の「L種」
それぞれの安全性能の数値は、以下のように定められています。
耐圧迫性 | 耐衝撃性 | 耐剥離性 | |
U種 | 15±0.1kN | 102cm | 甲皮:牛革またはゴム300N以上 |
H種 | 15±0.1kN | 51cm | 甲皮:牛革またはゴム300N以上 |
S種 | 10±0.1kN | 36cm | 甲皮:牛革またはゴム300N以上 |
L種 | 4.5±0.04kN | 15cm | 甲皮:牛革またはゴム250N以上 |
規格に通ってない安全靴は危険
JIS規格やJSAA規格などの規格試験に合格した安全靴は様々な試験をクリアして安全を担保しています。
一方、巷では規格に通っていない安全靴も多数流通しています。
JIS規格やJSAA規格でない安全靴は、値段が安く・見た目も普通なので購入して使っている人もたくさんいますけど…、紹介した通り、安全性が低い安全靴を使って労災にあった場合は会社や労働者の責任問題に問われることもありますし。
最悪の場合、足が潰れて車椅子生活になってしまうこともあります。
近年は、不況の影響で中国製のやすい製品がたくさん流通しています。
靴の外からだと先芯は見えないですが、ただのプラスチックだけしか入っていなくて物が足の上に落ちてきた時に簡単に割れてしまう粗悪品もあります。
大切な足を守るためにも、安全靴を購入する時は規格に通っている安全性が高いものを選びましょう。
安全靴を購入する方法はたくさんあるけどJISマークを確認しよう
安全靴は、ネットでも実店舗でも購入することができます。
ホームセンターに行くと安全靴コーナーがあって安価な値段で購入することができますが…、安全靴を購入する際にはJISマークやJSAAマークがあることを確認するようにしてください。
千円〜二千円くらいで購入できる「安全靴」は、JIS規格にもJSAA規格にも合格していない安全性の極端に低い靴のことが多いです。
工事現場・建築現場・工場など足に怪我をする可能性のある現場では適切な安全靴を履くことは、労働者の義務ですし。
そもそも、粗悪品を履いて足を怪我をしてしまうと仕事をすることができなくなってしまいます。