ニッカポッカという言葉を聞いたがありますか?
はじめて聞いたという方もいるかも知れませんが、ニッカポッカというのは作業ズボンのことです。
ガテン系の職人さんや大工さんが足袋と一緒に履いているダボダボしたズボンといえばイメージしやすいですよね。
職種によっては、ニッカポッカを履いたほうが作業しやすいという仕事もあります。
この記事では、ニッカポッカの特徴や履くことで得られるメリットについてまとめましたので、作業服を選ぶときの参考にしてみてください。
もくじ
そもそもニッカポッカって何?
ニッカポッカとは、ゆったりとして、膝下や足首部分でくくられたズボンのことです。
ニッカーボッカーズが語源で、今ではニッカポッカと呼ぶようになりました。元々は、ゴルフや野球などのスポーツウェアとして広まりましたが、現在ではスポーツよりも、土木・建設工事の作業服として履く方のほうが多いです。
工事現場で足首が括られたニッカポッカを履いて、仕事をしている姿を見かけたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。また、膝下までのニッカポッカを履いて、ゴルフをプレーしている姿を、昔の映像や写真などで見たことがあるという方もいることでしょう。
最近では、見た目がオシャレな作業服や快適な機能を備えた作業服が増えてきたことで、需要は減少してきています。現場によってはイメージや機能性から禁止になっているところも増えてきています。
それでも職人さんに人気のニッカポッカ。見た目がオシャレな作業服も多い中、ニッカポッカのように形が特徴的なズボンは履かれているのでしょうか。
それは、裾がまくられていることで動きやすく、作業がしやすいから。
特殊な形状のニッカポッカは怪我の防止や作業効率を高めてくれます。そのため、職種にかかわらず、けが防止のために履いているという方も珍しくありません。なかにはニッカポッカしか履かない、という職人も少なくないくらい人気の作業ズボンです。
ニッカポッカをよく見かける工事現場や職種は?ケガの防止にもなる?
ニッカポッカをよく見かける工事現場は、足場作業に関係する現場で、職種でいうと鳶職(トビ)や塗装業です。鳶職とは主に、鉄骨や単管・鋼管などを使って足場などの架設の作業を行う仕事で、塗装業は塗料(ペンキ)を建物や鉄・木などに塗る仕事です。
とくに、この2つの職種は高所作業が伴います。鳶職は足場の組み立て・解体、塗装業は作業をするために上り下りなどを頻繁に繰り返します。
そうすると、裾を足場にひっかけてケガをしてしまう、転落して亡くなってしまったなど、非常に危険性が高い仕事です。そのため、鳶職と塗装業の工事現場では、ニッカポッカを履く職人をよく見かけるということになります。ニッカポッカの足首部分以外がゆったりしていると足場にひっかけやすいのでは、と疑問に思う方もいるかも知れません。
たしかに、ゆったりしていると足場にひっかける確率は上がります。しかし、足場などでひっかけてケガをする場合、ズボンの生地が肌に近ければ近いほど傷は深くなりやすいです。
また、塗装作業で塗料がズボンに飛び散ってついてしまった場合、肌まで染み込んで乾いてしまったらなかなか落ちません。その点、ニッカポッカのようにズボンがゆったりしていれば、トラブルを最小限に抑えることができるのでメリットの方が大きいです。
ゆったりしたニッカポッカだと危険察知になる?高温になる現場にも向いている理由とは!
ニッカポッカを履いて作業をすると、何か障害物が近づいたときに危険察知になります。
たとえば、仮にあなたが刷毛(ハケ)でペンキ塗りの作業を、足場の上でしている様子を思い浮かべてみてください。ちょうど目の高さの部分を、20センチ幅で左に移動しながら塗っていく作業をするとします。そうすると、作業に夢中で足元は見えないこともあります。普通の作業ズボンであれば、もし途中で足場の膝ぐらいの高さに、長さ10センチくらいの太い鉄線が出ていたとしたら、気づいた時にはケガをしている可能性もありえます。
ところが、ニッカポッカの場合、ゆったりしているぶん肌まで余裕があります。そのため、鉄線があたった時に、はやく違和感を感じるためケガを防止することも可能なのです。
また、ニッカポッカは高温になる室内や夏場の作業の場合、快適な作業ができます。
服が直接肌に触れていないため、風通しが良くなるからです。また、高温になる作業では、汗を大量にかくため汗がべたついたり、ズボンがぴったりとして熱くなります。ニッカポッカを履いて作業をすれば、汗がべたつかず太ももも熱くなりにくいです。火花が散ってしまう現場でも火傷防止になります。ダボダボして動き辛そうなニッカポッカですけど、職人さんが愛用しているメリットがあるということです。
ニッカポッカ禁止の現場が増加傾向に
ニッカポッカは機能性も高いので、昔から職人さんに愛用されている作業用ズボンですけど着用禁止の現場は増加傾向にあります。
禁止の現場が増えている理由は、
- イメージがよくないから
- 普通の平ズボンでも機能性が向上しているから
大手のゼネコンの現場では、「印象が良くない」という理由で普通のズボンを推奨しているところが多いです。
現場監督さんが厳しい現場だとニッカポッカで入場することができないこともあります。
ニッカポッカのイメージは、「かっこいい」とプラスに思っている人もいますけど「ガラが悪い」とマイナスの印象を持っている人が多いからです。
工事現場は近隣の人からのクレームもあるのでイメージを大切にしています。少しでもクリーンなイメージを持って欲しいと思っているのでニッカポッカを禁止している現場が増えているのです。また、機能性についても安くて充実した作業用ズボンがたくさん販売されています。
マイナスのイメージがあるニッカポッカよりも、機能性が充実した清潔感のある作業用ズボンを推奨している現場が増えていることは当然なのかもしれません。
作業現場に合わせて作業用ズボンを選ぼう
ニッカポッカは、見た目が特徴的な形のズボンで履くことで得られるメリットの多い作業服です。
職種によっては、とくに需要が高いズボン。
動きやすくケガの防止につながるばかりか、高温になる作業においても役立ちます。
ただし、ニッカポッカ禁止の現場も増えているので作業現場に合わせて選ぶようにしましょう。