職場の腰痛は、重い物の扱い方と寒さなどの環境と体調が重なって起きます。厚生労働省は腰痛予防の指針とチェックリストを出していて、やることは大きく3つに分かれます。
1つ目は重い物を人の力だけで持たない工夫です。2つ目は腰を冷やさない環境づくりで、3つ目は体操と休憩で疲れをためないことです。

- 職場の腰痛が多い業種と発生率
- 腰痛の原因になる4つの要因
- 腰痛予防対策指針の3つの管理とチェックリスト
- 倉庫や食品工場や建設現場でやること
- 冬の現場で腰を冷やさない方法
- 腰痛が労災になる条件
- 腰痛の発生率と予防のチェック項目は厚生労働省の公式ページで確かめました
- 労災の条件は業務上腰痛の認定基準の通達の原文で確かめました
- 商品の値段は2026年10月20日にミドリ安全.comで確かめました
腰痛ベルトを使うか迷っている人は、腰痛ベルトの選び方と仕事の腰痛予防もあわせて読んでおきましょう。
職場の腰痛はどれくらい起きている?運送業と保健衛生業で多い
多くの業種で、腰痛は仕事が原因の病気の中でいちばん割合が大きいと国の通達に書かれています。厚生労働省によると件数は昭和53年をピークに減りましたが、近年は全産業でまた増えています。

グラフは働く人1,000人あたりで腰痛になった人の数です。国の資料ではこの数字を死傷年千人率といいます。トラックなどの陸上貨物運送事業は0.41で、全業種の平均の4倍ほどあります。
保健衛生業は病院や介護施設などの仕事のことです。厚生労働省のページには次のように書かれています。
また、保健衛生業と陸上貨物運送事業の腰痛発生率(死傷年千人率)は全業種平均(0.1)を大幅に上回る(保健衛生業0.25、陸上貨物運送事業0.41)ことからも、特に保健衛生業と陸上貨物運送事業における腰痛予防対策の推進が重要な課題となっています。
出典:厚生労働省 腰痛予防対策
荷物の積み下ろしが多い倉庫や運送の仕事は、腰痛が特に起きやすい職場です。倉庫で働く人は自分の職場のことだと考えておきましょう。
腰痛の原因は?職場の腰痛を起こす4つの要因
厚生労働省は腰痛の原因をいくつかの要因に分けています。1つだけでなく、いくつかが重なって起きると考えられています。
動作要因は重い物と前かがみの姿勢
重い物を持ち上げたり押したり引いたりする動きが入ります。腰を深く曲げる姿勢や同じ姿勢を長く続けることも原因です。
環境要因は寒さと振動と足元
屋外で体が長く冷えることや車の運転の振動が入ります。暗い照明や滑りやすい床や狭い作業場所も原因になります。
個人的要因は年齢と体格と睡眠
年齢や性別や体格や骨の病気などが入ります。夜勤が多い勤務や仮眠が取れないことも、厚生労働省は要因に挙げています。
厚生労働省は性別も個人的要因に挙げています。同じ荷物でも筋力によって腰の負担は変わるので、女性や小柄な人は重さを無理に合わせないようにしましょう。
夜勤のあとの休み方はこちらの記事を参考にしてください。
心理的な要因は職場のストレス
人間関係のストレスや、腰が痛くても休みにくい雰囲気も腰痛にかかわります。厚生労働省は上司や同僚の支えや相談窓口づくりを会社に求めています。
職場における腰痛予防対策指針とは?3つの管理と教育
腰痛予防対策指針は、国が会社向けに腰痛の防ぎ方をまとめたものです。平成25年6月18日の通達で改訂されたものが今も使われていて、介護や車両運転の仕事にも対象が広がりました。
中身は3つの管理と教育です。作業管理は仕事のやり方で、作業環境管理は職場の温度や床のことです。健康管理は健康診断と体操を指します。
作業管理は持ち方と運び方を変えること
腰に負担のかかる作業は、機械で自動化するか台車などの道具で減らすのが基本です。腰に強い負担がかかる作業は、1人でさせないことも書かれています。
- 作業する物にできるだけ体を近づける
- 作業台はひじがほぼ直角に曲がる高さにする
- 休憩をはさんで姿勢を変える
- 夜勤は昼間より作業量を少なくする
靴と服装についても次のように書かれています。
作業時の靴は、足に合ったものを使用する。ハイヒールやサンダルは使用しないこと。作業服は、適切な姿勢や動作を妨げることのないよう伸縮性のあるものを使用する。腰部保護ベルトは、個人ごとに効果を確認した上で、使用するかどうか判断する。
出典:厚生労働省 腰痛予防対策
腰のベルトは誰にでも効くものではなく、自分に合うかを確かめてから使うものです。足に合わない靴は姿勢を崩すので、靴の見直しも腰痛予防の1つになります。
立ち仕事で疲れにくい安全靴の選び方はこちらの記事を参考にしてください。
作業環境管理は温度と照明と床を整えること
寒い場所では体を冷やさない工夫をし、足元が見える明るさを保ちます。つまずきにくい床と十分な作業スペースも大切です。
車の運転のように振動が続く仕事では、座席の調整とこまめな休憩が求められています。
健康管理は健康診断と腰痛予防体操
腰に強い負担がかかる作業をいつもする人には、配置の前に医師による腰痛の健康診断があります。その後は6か月以内に1回のペースで行うことになっています。
作業の前にはストレッチを中心にした腰痛予防体操をしましょう。厚生労働省の腰痛予防対策のページには解説書つきの「いきいき健康体操」があり、動きのやり方を確かめられます。
朝礼や安全大会で行う安全の取り組みはこちらの記事を参考にしてください。
現場別の腰痛予防対策!倉庫と食品工場と建設現場でやること
同じ腰痛予防でも、現場によって気をつける場面が違います。下のチェックリストを仕事の前と最中に見直しましょう。

- 重い荷物は台車やリフトで運べるか
- 腰を深く曲げる作業を台の高さで減らせるか
- 同じ姿勢が続いたら休憩で姿勢を変えたか
- 足に合った靴と伸びる作業服を着ているか
- 寒い場所で腰を冷やしていないか
- 作業の前に体操やストレッチをしたか
倉庫や物流は持ち上げる回数を減らす
床に置いた荷物を何度も持ち上げると腰に負担がたまります。荷物は台やパレットの上に置き、ひざを曲げて体に近づけて持ちましょう。
重い荷物や形がふぞろいな荷物は、2人で持つか台車を使うのが一般的です。体をひねりながら持ち上げる動きはできるだけ避けてください。
フォークリフトに長く乗る人は、座席の位置を合わせてから運転しましょう。休憩では車を降りて、腰を伸ばしてから次の作業に入るといいでしょう。
食品工場は立ちっぱなしと前かがみに気をつける
ライン作業は同じ姿勢で長く立つことが多く、作業台が低いと前かがみが続きます。片足を低い台にのせて交互に替えると、腰の負担を分けられます。
冷蔵の部屋では体が冷えやすいので、腰まわりを温める工夫も必要です。足元が硬い床なら、疲労軽減マットを職場に頼むのも1つの手です。
建設現場は資材の運搬と冬の朝に注意
型枠や資材の運搬は重い物を中腰で扱う場面が多く、腰痛の原因が重なります。重い資材はクレーンなどの揚げる機械や台車を使い、無理に1人で運ばないようにしましょう。
冬の朝は体が冷えて固まっているので、作業前の体操を省かないでください。
建設現場で起きやすい事故と防ぎ方はこちらの記事を参考にしてください。
- 「床置きの荷物が多いので、台かパレットを増やしてもらえませんか」
- 「この荷物は重いので、2人で運ぶ決まりにしてもらえませんか」
- 「立ち場所の床が硬いので、疲労軽減マットを置けませんか」
- 「厚生労働省のチェックリストで、職場を一度見てもらえませんか」
頼むときは、どの作業がつらいかを具体的に言うと話が通りやすいです。指針は会社がやることとして書かれているので、遠慮しすぎなくてよいでしょう。
冬の腰痛予防は腰を冷やさないこと
厚生労働省は、屋外で体が長く冷えることを腰痛の環境要因に挙げています。冬の現場では腰まわりを冷やさない服装にしましょう。
作業服の下に防寒インナーを着て、腰をおおう長さの上着を選ぶのが基本です。休憩所で体を温めてから作業に戻るのも効果的です。
冬の現場の防寒グッズと冷え対策はこちらの記事を参考にしてください。
作業着の下に着る防寒インナーはこちらの記事を参考にしてください。
腰痛予防に使える作業用品!楽腰パンツと腰の防寒と疲労軽減マット
道具は作業の工夫の代わりにはなりませんが、負担を減らす手助けになります。ここでは悩み別に3つ紹介します。
前かがみが多い人は楽腰パンツ
楽腰パンツはミドリ安全の作業ズボンで、腰をささえるベルトとパンツが組み合わさっています。ミドリ安全.comでは男性用セット(VES500シリーズ)が11,451円(税込)です。パンツだけなら8,382円(税込)で買えます。
女性用もあり、レディース楽腰パンツセット(VEM60下)は10,142円(税込)です。値段は2026年10月20日に確かめました。
コルセットのように分厚くならず、ズボンと一体になっているので動きやすいのが特長です。ただし厚生労働省も書いているように、腰のサポートが合うかは人によって違います。
重い物を持つ作業を助けるアシストスーツはこちらの記事を参考にしてください。
冬に腰が冷える人は腰用の発熱ウォーマー
屋外や冷蔵の部屋で腰が冷える人は、作業服の下に巻くウォーマーが手軽です。

- 作業服の下に巻いて腰まわりの冷えを防げる
- 汗や湿気を吸って熱を出す素材を使っている
- 使い捨てカイロを入れるポケットがある(カイロは別売り)
- ウエスト60〜85cmに合うサイズで3,461円(税込)
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硬い床で立ちっぱなしの人は疲労軽減マット
食品工場のように硬い床で長く立つ現場では、立ち位置にマットを敷く方法があります。値段が高いので、職場の備品として会社に頼むのが現実的です。

- 立ち位置に敷いて硬い床の負担をやわらげる
- 油や水に強いゴムでできていて食品工場向けの青色
- 表面がすべりにくく、ふちに傾斜がありつまずきにくい
- 460×610mmで厚さ12.7mm、19,360円(税込)
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どれも作業服店やホームセンターで似た物が売られています。ほかにも作っているメーカーがあるので、近くの店で選んでもかまいません。
腰痛は労災になる?認定される2つの型
仕事が原因の腰痛は、条件を満たせば労災として補償されます。国の認定基準では、けがによる腰痛と負担の積み重ねによる腰痛の2つに分けています。

- けがによる腰痛:仕事中の突発的なできごとで腰に急な力がかかったもの。荷物が思ったより重かったときや運搬中に転んだときなど
- 負担の積み重ねによる腰痛:重い物を扱う仕事など腰に強い負担がかかる仕事を続けて起きたもの
負担の積み重ねでは、どんな仕事が当てはまるかの目安が書かれています。
(イ) おおむね20kg程度以上の重量物又は軽重不同の物を繰り返し中腰で取り扱う業務
軽重不同の物とは、重さがばらばらの荷物のことです。
約20kg以上の荷物を中腰でくり返し扱う仕事は、腰に負担のかかる仕事として扱われます。ぎっくり腰も、仕事中の突発的なできごとで起きた場合は対象になることがあります。
職場の腰痛予防でよくある質問
職場の腰痛予防について、よく聞かれることをまとめました。
腰痛ベルトやコルセットは毎日着けたほうがいい?
厚生労働省は、腰のベルトは人ごとに効果を確かめてから使うかを決めるとしています。合わない人もいるので、着けてつらくないかを確かめてから使いましょう。
腰痛予防に運動はしたほうがいい?
厚生労働省は、ストレッチ中心の体操や負担にならない程度の運動をすすめています。十分な睡眠や入浴で体を温めることも腰痛予防に役立ちます。
仕事で痛めた腰痛はどれくらいで治る?
認定基準の通達では、仕事の腰痛は適切に治療すればおおむね3〜4か月で軽くなるのが普通とされています。回復が遅いと1年ほどかかる場合も通達に書かれています。長引くときは医師に相談してください。
もう腰が痛いときは仕事に出ていい?
痛みが強いときや足のしびれがあるときは、無理に重い物を扱わず整形外科を受診しましょう。仕事を続けるかは医師の意見を聞き、会社に伝えて作業を軽くしてもらうのが一般的です。
厚生労働省も、腰痛で休んだ人が職場に戻るときは産業医などの意見を聞いて必要な配慮をするよう会社に求めています。
腰痛で休むときに給料はどうなる?
労災と認められれば、治療費と休んだ間の補償を労災保険から受けられます。仕事以外が原因なら、健康保険の傷病手当金の対象になる場合があります。
会社が腰痛対策をしてくれないときは?
まずは上司や安全衛生の担当者に、つらい作業を具体的に伝えましょう。厚生労働省のチェックリストを一緒に見てもらうと話が進めやすくなります。
職場の腰痛予防対策のまとめ!持たない工夫と冷やさない環境と体操から
職場の腰痛は、重い物の扱い方と寒さと体調が重なって起きます。自分でできることと会社に頼むことを分けて進めましょう。
- 腰痛は運送業と保健衛生業で特に多い
- 原因は動作と環境と個人と心理の4つの要因
- 重い物は台車や2人で運び、体に近づけて持つ
- 冬は腰を冷やさない服装と作業前の体操
- 約20kg以上を中腰でくり返す仕事の腰痛は労災の対象になりうる

腰痛予防の知識と腰痛ベルトの選び方はこちらの記事を参考にしてください。
- 厚生労働省 腰痛予防対策(2026-10-20に確認)
- 厚生労働省 業務上腰痛の認定基準等について(2026-10-20に確認)
- 安全衛生情報センター 職場における腰痛予防対策の推進について(2026-10-20に確認)
- ミドリ安全.com 楽腰パンツ(2026-10-20に確認)
- 情報は確認した日のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください



















