我々が日常生活で暮らしている家や仕事場となるオフィス等は、日々新たに建築されたり、解体されたりを繰り返しています。
建物の建築工事や解体工事は国や地方公共団体、技術者が連携することで進められています。
建築物を立てたり壊したりするには、さまざまな技術者の存在が必要不可欠なのです。
解体工事で活躍する技術者の1人である解体工事施工技士の概要について解説していきます。
解体工事施工技士は高度経済成長期(1954年〜1970年)から50年以上経過した2021年。
令和の時代は、建物の老朽化で解体をしなくてはいけない建築が増えているので今注目されている資格の一つです。
もくじ
解体工事施工技士とは?
解体工事施工技士の主な仕事は、解体工事の現場監督・解体工事の技術管理者などの解体工事の業務を統括です。
解体工事施工技士は解体工事の施工・管理をするのに必要な知識を持っていることを証明するための資格。
一般的に建設工事は500万円未満の軽微な工事であれば許可を要せず施工工事をすることができますが、解体工事の場合は500万円未満の軽微な工事であっても解体工事業者登録をしなければなりません。
解体作業で出た大量の瓦礫の不法投棄などを防ぐために定められています。
解体工事業者登録をする場合は、解体工事施工技士のような技術管理者の存在が必要となります。
建設業許可を受けて解体工事を施工するときには、工事の現場に主任技術者を必ず置かなければなりませんが、解体工事施工技士の資格者が主任技術者の要件を満たしています。
つまり、解体工事施工技士は解体工事現場では欠かせない存在なのです。
解体工事施工技士になるには?
解体工事には必要不可欠な存在である解体工事施工技士ですが、受験資格は誰にでもあるわけではなく実務経験が必要です。
起算日は卒業後です。高学歴な人ほど実務経験年数は少なくて済みます。
解体工事施工技士の試験を受けるためには、それぞれの学歴に合わせて一定の実務経験が必須条件となります。
また、国土交通省令に規定されている指定学科を卒業したか否かで必要な実務経験も変わります。
試験は1年に1回で、毎年12月の第一日曜日です。
令和2年は12月6日に実施されます。(全解工連のHPに試験日の掲載がありますので受験される方は確認しましょう)
解体工事施工技士の試験問題は?
試験内容は、四肢択一式(50問・90分)及び記述式(5問・120分)。
四肢択一式は、4つの選択肢のうちから1つの答えを選択する正誤問題が50問・記述式は現場での知識が問われる問題が全部で5問です。
試験時間は全て合わせて3時間30分。
試験問題の範囲も非常に広く、土木や建築の基礎知識、解体工事施工の計画、解体工事施工管理、解体工法、解体用機器、安全管理、環境保全、副産物及び廃棄物対策、関連する法律及び規則があります。
四肢択一式の問題例)
記述式の問題例)
過去の試験問題は、「全解工連」のホームページでダウンロードできますけど、試験問題を見る限り難易度が低い試験ではありません。
合格率はどのくらいあるの?
合格率は受験者の約半数が合格している試験ですけど。
出題される範囲が膨大で、専門的な知識が必要なので簡単に合格することができる試験ではありません。
受験資格も、実務経験が最低でも2年半以上必要なので知識がある人が受験します。
なので合格率が高いですけど、逆に実務経験が長くてもきちんと勉強しないと半数くらいの人が落ちるくらい難しいということです。
合格するためには、受験日までの日数を逆算していきながら、計画的に勉強していくことが大切です。
過去問から同じ傾向の問題が出題されるので過去問題集などを繰り返し勉強しましょう。
受験料はどのくらいかかるの?
受験申し込み方法は、インターネット申込と書面申込の2つあります。
それぞれ受験料が変わってくるので、事務手数料が発生しないネットが使える方はインターネット申し込みの方が安いです。
- インターネット申込 16,500円<クレジットカードで決済する場合>
(受験料:15,000円 消費税:1,500円) - インターネット申込 17,000円<コンビニエンスストアで決済する場合>
(受験料:15,000円 消費税:1,500円 決算手数料:500円) - 書面申込 19,800円 (受験料:15,000円 事務費:3,000円 消費税:1,800円)
解体工事施工技士の年収や将来性は?
解体工事施工技士は非常に専門性が高く、解体工事を進めていく上で重要な存在となるため、年収も高く設定される傾向があります。
また、解体工事は大きいビルを建て壊すという作業もします。
そのため、仕事はややハードでもあり、少なからずのリスクを抱えることになります。その分、他の建設関係の現場監督と比較しても1割、2割程度高い給料を貰うことができるという特徴もあります。
実務経験やスキルによって年収は変わりますけど、30代~40代で約500万円~800万円を狙うことができる仕事です。
建築物は耐久年数があるため、解体工事は必須の仕事です。
都心や地方都市では、どこでもビルやマンションを建て替えているのを目にします。
昨年はオリンピックや増税の影響で建て替え工事が盛んにありました。建築業界の流れはありますけど建て替え工事の需要がなくなることはまずありえません。
解体工事のときには、法律で主任技術者を必ず置かなければなりませんので、解体工事施工技士は将来性の高い職業であることは間違い無い仕事の1つです。
まとめ
解体工事施工技士は建物の解体工事をする上で欠かすことができない存在です。
解体工事施工技士の資格を取得するためには、長い実務経験と広い範囲の専門知識を習得しなければなりません。
合格した後も5年に1回は講習を受講しなければいけないので、知識のアップデートを必要とする専門性の高い仕事です。
建築物の解体工事は日本中どこでも行われています。
建築物の耐久性がある以上、今後も解体工事の需要はずっとあるので解体工事施工技士は将来性のある職業の1つです。
解体工事施工技士の有効期間は5年間、更新のときには技術講習を受ける必要があります。