秋の作業着で迷うのは、夏物と冬物のどちらを着るかではありません。朝と昼で気温が大きく変わるので、1日の中で調節できる形にすることが先です。
気象庁の平年値では、東京の日最低気温は9月が20.3℃で11月が8.8℃です。たった3か月で11.5℃も下がります。
しかも同じ日の中で、日最高と日最低に7℃以上の差があります。朝に合わせると日中は暑く、日中に合わせると朝夕に冷えます。
だから秋は、夏物の上下を残したまま、インナーと上着で足し引きするのがいちばん失敗しません。この記事では、その足し引きの目安を気温の数字で示します。

- 秋の3か月で気温がどれだけ下がるのか(気象庁の平年値)
- 秋の作業着を「インナー・作業着・上着」の3つの層で組み立てる考え方
- 上着を足す目安になる朝の気温(15℃と10℃)と、屋内中心の現場の目安
- 住んでいる地域で秋の装備がどう変わるか
- 秋の現場で気をつけたい静電気と雨への備え
- 女性や小さいサイズの人が秋の作業着を選ぶときの見どころ
- 会社支給の作業着のまま、自分で足すときの考え方と伝え方
秋の作業着は夏物を残して重ね着で調節する
秋の初めに冬物へ衣替えしてしまうと、日中に汗だくになります。汗が引いたあとの夕方に体が冷えて、体調を崩す原因になります。
逆に夏物のままでは、朝いちばんの外作業がつらくなります。そこで夏物の上下は残したまま、下に1枚・上に1枚を足し引きします。

図解のとおり、1日は3つの時間帯に分けて考えると迷いません。
- 朝いちばん … インナー+夏物の上下+上着。まだ10℃台前半の日がある
- 日中 … 上着を脱いで夏物の上下だけ。汗をかいたら早く乾かす
- 夕方から … 気温が下がる前に上着を戻す。汗が冷えてから着ると遅い
上着を1枚持ち歩くだけで、この3つに対応できます。作業着そのものを買い替えるより安く済みます。
屋内中心の現場は、外に出る時間だけ合わせればいい
倉庫や工場の中が作業の中心なら、日中の気温はほとんど変わりません。用意するものは、朝夕の出入りとトラックの積み下ろしに合わせて決めます。
この場合は上着を1枚だけ用意して、外に出るときに羽織れば足ります。冬物への切り替えは、屋外中心の人より2〜4週間ほど遅くて困りません。
夏のあいだ空調服を使っていた方は、しまう前にこちらの記事も参考にしてください。
秋は3か月で朝の気温が10℃以上下がる
「寒暖差が激しい」と言われても、何℃の話かがわからないと準備できません。気象庁が公表している平年値を見ると、下がり方がはっきりします。
東京の朝の最低気温は9月から11月で11.5℃下がる

東京の日最低気温の平年値は、9月が20.3℃で11月が8.8℃です。9月の朝は半袖でも平気ですが、11月の朝は一桁台になります。
10月に入ると、朝は上着がないとつらい日が増えます。月が変わるたびに5℃前後ずつ下がると覚えておくと、買い物の計画が立ちます。
同じ日の中でも日最高と日最低に7℃以上の差がある

10月の日最高気温と日最低気温の差は、6都市とも7℃を超えます。名古屋は8.5℃、札幌は8.4℃と、とくに振れ幅が大きくなります。
この差は、上着1枚を着たり脱いだりする幅とほぼ同じです。朝に合わせた服装のまま日中を過ごすと、汗をかいて夕方に冷えます。

- 前日の夜に、翌朝の最低気温と日中の最高気温を両方見る
- 差が7℃以上あるなら、脱ぎ着できる上着を持っていく
- 最低気温が15℃を下回り始めたら、インナーを長袖に替える時期
- 最低気温が10℃を下回り始めたら、防寒用の上着を出す時期
秋の作業着の重ね着は3つの層で考える
重ね着は、枚数ではなく役割で数えると失敗しません。秋は次の3つの層で足りることがほとんどです。
1枚目のインナーは汗を吸って早く乾かすもの
肌に触れる1枚目は、保温よりも先に乾きやすさで選びます。綿100%の肌着は汗を抱えこむので、秋の外作業では冷えの原因になります。
吸汗速乾と書かれた化学繊維のインナーなら、汗をかいても体が冷えにくくなります。裏起毛のものを選べば、朝の冷え込みにも対応できます。
2枚目の作業着は夏物の長袖をそのまま使う
秋の2枚目は、夏に着ていた長袖の作業着で足ります。通気性がよく、日中に汗をかいてもこもりません。
冬物の作業着は生地が厚く、風を通しにくく作られています。11月の後半まで待ってから出しても遅くありません。
3枚目の上着は脱いで置ける軽さで選ぶ
3枚目は風を止める役目です。秋は分厚い防寒着ではなく、薄くて丸めて置けるものが使いやすくなります。
重ね着で厚くなると、肩が動かしにくくなります。荷物を持ち上げる動作がやりにくくなるので、厚みより伸びやすさで選びます。
実際、現場では薄手の上着を1年中使っている人もいます。
知恵袋で「秋と冬の作業着はどんな格好がよいか」と聞いた人への回答です。現場の人の書き込みなので、あくまで一例として読んでください。
ヤッケの下に何を着るか。何枚着るかで調整します。
出典:Yahoo!知恵袋
ヤッケは、薄手で風を通しにくい上着のことです。上着を固定して、下の枚数で調節するという考え方は秋にそのまま使えます。

秋の作業着の下に着るインナーの選び方
「作業着の下に何を着ればいいか」は、秋にいちばん多い疑問です。塗装の現場に入ったばかりの女性が、次のように相談していました。
最近入ったのですが、秋と冬の作業着はどんな格好が良いでしょうか?会社から裏がフワフワの長袖はもらいましたが流石にそれでは寒さを凌げないと思いバーカーを来ていますがあまり汚したくなく、今は薄い長袖のアンダーシャツに長袖ポロシャツを着て作業してます。
出典:Yahoo!知恵袋
この人が困っているのは、汚したくない服を重ねてしまっている点です。作業着の下は、汚れてもいい専用のインナーにすると解決します。
秋のインナーは、次の3つを満たすものを選びます。
- 吸汗速乾 … 汗を吸って早く乾く。汗冷えを防ぐいちばんの条件
- 裏起毛または保温 … 朝の冷え込みに対応する
- 体にそって伸びる … 上から作業着を着ても、腕を上げる動きを邪魔しない

秋に足す1枚目を、いちばん安く試せるのがこのインナーです
- ミドリ安全.comでは1,353円(税込・本体1,230円)。まず1枚だけ試せる値段です
- Sサイズからあるので、小柄な人でも体にそうサイズが選べます
- 40%以上伸びる素材なので、上から作業着を着ても腕が上がります
- 裏面が起毛していて、朝の冷え込む時間帯にそのまま使えます
- 吸汗速乾の加工があり、日中に汗をかいても乾きやすい作りです
- 縫い目が平らになる縫い方なので、肌にこすれにくくなっています
- 消臭テープと、静電気を抑えるための糸が使われています
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インナーは洗い替えを考えて2枚あると回せます。毎日洗うものなので、買う前に洗濯表示を見て家で洗えるかを確かめてください。
体にぴったりしたインナーの違いは、こちらの記事で比べています。
作業着の下に着る防寒インナーの選び方はこちらの記事を参考にしてください。
秋の上着はいつ足す?衣替えの目安は朝の15℃と10℃
上着を出す時期は、カレンダーではなく朝の最低気温で決めます。地域と現場で適した時期が変わるからです。
- 朝の最低気温15℃前後 … 薄手の長袖ジャンパーを1枚持っていく
- 朝の最低気温10℃前後 … 防風・防寒の上着に切り替える
- 朝の最低気温5℃前後 … 冬物の作業着とインナーをそろえる時期
- 屋内中心の現場 … 上の目安より2〜4週間ほど遅くてよい
この目安は、気温の平年値と作業着の生地の厚さから決めた考え方です。会社に衣替えの決まりがある場合は、そちらが優先です。
先の気温は、気象庁の1か月予報で確かめられます。発表の間隔は次のとおりです。
1か月先までの気温、降水量、日照時間、降雪量を予報します。(毎週木曜14時30分発表)
毎週木曜に1か月先までの気温が出るので、買い物の前に見ておくと無駄がありません。冬の見通しは、12月から2月の気温を知らせる「寒候期予報」で分かります。
薄手の長袖ジャンパーは秋のいちばん使う1着
9月から10月にかけては、薄手の長袖ジャンパーが便利です。日中に脱いでも、丸めて置けるくらいの厚みで足ります。

夏物の上下の上から羽織って、10月いっぱいまで使えます
- 薄手の生地なので、日中に脱いでも荷物になりません
- ポリエステル65%と綿35%。汗をかいても乾きやすい配合です
- 値段は4,191円(税込・本体3,810円)です
- サイズはSから5Lまで。夏物の上から羽織る前提で1つ上を選べます
- 左右の胸ポケット付き。左胸にはペン挿しがあります
商品名の記号(E/C)は選ぶときに気にしなくて大丈夫です。見るのは素材とサイズです。
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同じような薄手のジャンパーは、作業服店やホームセンターでも買えます。現物を見て決めたい人は、袖を通してから買うほうが確実です。
秋のあいだに買い足す金額は、インナー1枚と薄手のジャンパーで5,544円が目安です。ミドリ安全.comの価格で合わせた金額なので、店によって前後します。
朝が10℃を切ったら防風・防寒の上着に替える
11月に入ると、東京でも朝は8℃台まで下がります。薄手のジャンパーでは風を止めきれません。
このころからは、裏地に保温材が入った防風のブルゾンに替えます。現場に帯電防止の指定があるなら、その条件も合わせて選びます。

買う前には、図解のチェックリストを上から順に確かめます。
- 朝の最低気温が15℃を下回る日が続いているか
- 夏物の上下の上から着て、腕が肩の高さまで上がるか
- 日中に脱いだとき、丸めて置ける軽さ・薄さか
- 火花や可燃物を扱う現場で、帯電防止の指定がないか
- 雨と風の日に、上から羽織れるレインウェアが現場にあるか
冬の作業着そのものの選び方は、こちらの記事にまとめています。
本格的な防寒着の種類と選び方は、こちらの記事を参考にしてください。
住んでいる地域で秋の作業着は変わる
同じ11月でも、朝の冷え込みは地域でまったく違います。全国共通の衣替えの日を決めても意味がありません。

11月の日最低気温の平年値は、札幌が1.6℃で福岡が10.6℃です。その差は9℃あります。
札幌の11月の朝は、福岡の12月より寒い計算になります。北日本と日本海側では、10月のうちに防寒の上着を用意しておくと安心です。
反対に西日本なら、11月いっぱいは薄手のジャンパーで足りる日もあります。自分の地域の平年値を一度見ておくと、毎年の判断が楽になります。
作業着そのものをメーカーから選び直したい方は、こちらの記事が参考になります。
秋の現場は静電気と雨にも備える
秋の作業着で見落とされやすいのが、この2つです。どちらも9月から11月のあいだに条件がそろいます。
空気が乾いてくる秋の終わりは静電気が起きやすい
東京の平均湿度の平年値は、9月が75%で11月が64%です。秋のあいだに、じわじわと乾いていきます。
重ね着をすると、服と服がこすれる面も増えます。倉庫や工場で火気を扱わない現場なら、ふつうの防風ブルゾンで問題ありません。
一方、可燃性のものを扱う現場では、帯電防止の作業服が指定されることがあります。ここからは、その指定がある人向けの話です。

朝の冷え込みと静電気対策を1着でまとめたい人向けです
- 帯電防止作業服JIS適合品です。元請けから規格を指定されたときに使えます
- 表地と裏地の両方に導電繊維入り。静電気を地面へ逃がすための糸です
- 上半身の裏地に、風を通しにくいキルト地が使われています
- 石油化学・ガス化学・火薬製造など、引火性のものを扱う現場向けの作りです
- サイズはSSから5Lまで。小柄な人にも合わせやすい幅があります
- 11,814円(税込・本体10,740円)と、この記事でいちばん高い1着です
帯電防止の指定がない現場なら、ここまでの性能は必要ありません。
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静電気は服だけでは止まりません。靴や手袋、床のほうから対策する方法もあります。
秋は雨と台風の日の装備も用意しておく
9月から10月は、台風が近づく時期と重なります。雨に濡れたまま風に当たると、気温以上に体が冷えます。
秋のレインウェアは、防水だけでなく蒸れにくさも見ます。動きながら着るので、内側に汗がたまると結局は冷えるからです。
短時間だけなら、ホームセンターの安いカッパでもしのげます。1日じゅう雨の中で動く人は、上下そろったものを1つ持っておくと楽です。

雨の日に現場へ出る回数が多い人向けの1着です
- 上下そろって13,222円(税込・本体12,020円)。足元からの濡れも防げます
- 防水素材をコーティングした生地を使い、縫い目に防水テープを貼っています
- 生地の表面に撥水素材を塗ってあるので、汚れが付きにくい作りです
- 表はナイロン100%、裏はポリエステルのメッシュです
- サイズはMから4Lまであります
フードは付いていますが、ヘルメットの上から着る形かどうかは現場で確かめてください。
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レインウェアの選び方をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
女性や小さいサイズの人が秋の作業着を選ぶとき
秋の重ね着は、サイズ選びがそのまま動きやすさに響きます。下に1枚足すぶん、上の作業着に余裕が要るからです。
男女兼用の作業着は、肩幅に合わせると丈が余ることがあります。インナーは体にそうものを選び、上着で幅を調節すると収まります。
- インナーはSサイズがあるか。伸びる素材なら多少の差は吸収できる
- 上着はSSサイズの用意があるか。肩の位置が合うかを先に見る
- 袖が長いときは、袖口を絞れる作りかどうかを確かめる
- 裾が長いと引っかかるので、丈を詰められるものを選ぶ
この記事で挙げたインナーはSサイズから、帯電防止のブルゾンはSSサイズからあります。サイズの幅がある商品から探すと、選び直しが減ります。
丈が余るときの裾上げのやり方は、こちらの記事で紹介しています。
女性向けの作業着をまとめて見たい方は、こちらの記事が参考になります。
秋の作業着でよくある質問
検索でよく一緒に調べられている疑問に、順番に答えます。
秋の作業着はいつから冬物に替えればいいですか?
朝の最低気温が10℃を下回る日が続いたら替え時です。平年値で見ると札幌は10月下旬、東京と名古屋は11月中旬、福岡は11月下旬あたりが目安になります。
作業着の下に着るものは何がいいですか?
吸汗速乾の化学繊維のインナーが基本です。綿100%の肌着は汗を抱えこむので、外作業では避けたほうが無難です。
秋の作業着とインナーは何着あれば回せますか?
インナー2枚と、薄手の上着1枚があれば秋は回せます。インナーは毎日洗うので、乾かない日の予備として2枚目が要ります。
会社支給の作業着のままでも大丈夫ですか?
支給品はそのまま着て、下のインナーと上の上着だけ自分で足す形で足ります。上着の色や形に決まりがある現場もあるので、先に確かめてください。
伝えにくいときは、こう聞くと話が早く進みます。「朝の冷え込みで手がかじかむので、上に羽織るものを用意したいのですが、色や形の決まりはありますか」。
秋に買い足すと、いくらくらいかかりますか?
この記事のインナーと薄手のジャンパーなら、合わせて5,544円です。帯電防止の上着まで用意する場合は、そこに11,814円が加わります。
普段着のパーカーを作業着の上に着てもいいですか?
現場の規則によります。ひもやフードが機械に巻き込まれる危険があるため、禁止している現場もあります。
まとめ:秋の作業着は夏物を残して上下に1枚ずつ足す
秋は3か月で朝の気温が10℃以上下がり、同じ日の中でも7℃以上の差があります。この振れ幅に合わせるには、作業着を替えるより足し引きするほうが確実です。

- 秋は夏物の上下を残し、インナーと上着で調節する
- 上着を足す目安は朝の最低気温15℃、冬物へ替える目安は10℃
- 屋内中心の現場は、その目安より2〜4週間ほど遅くてよい
- 札幌と福岡では11月の朝に9℃の差がある。地域の平年値で判断する
- インナーは洗い替えを含めて2枚。上着はまず薄手の1枚から
- 秋の終わりは空気が乾く。可燃物を扱う現場は帯電防止の指定を確認する
- 9月から10月は台風の時期。雨の日に着るものを決めておく
最後に、装備を買い足す前に現場の規則を確かめてください。帯電防止や反射材の指定がある現場では、選べる商品が限られます。
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