新しい生活様式としてマスクの着用が一般的になっていますが、真夏はマスクをしていることで熱中症のリスクが高まるという問題があります。特に工事現場のように熱中症リスクが高い場所で働く場合には、しっかりと対策をとることが重要です。
こちらでは、真夏でもマスクを着用する場合の注意点や熱中症対策について見ていきます。
もくじ
これからの夏はマスクと上手に付き合う
マスクを着用しているときとはずしているときでは、やはり着けているときの方が熱中症リスクは高いです。
どんなに通気性が高いマスクでもマスクをしている時点で空気がこもります。そもそも、マスクの性能として空気を通しにくい性質があります。
そのため、マスクの必要がないときは極力マスクをはずして作業をした方がよいでしょう。
厚生労働省は、屋内で複数人の作業員が作業をする場合などはマスクの必要性を認めていますが、単独作業をするときや屋外でほかの作業員と2m以上の十分な距離を開けて作業をするときなどは、熱中症予防の観点からマスクをはずして作業をしてもよいと判断しています。
高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう。
また、軽い負荷の作業をする場合にはマスクの有無で深部体温に大きな上昇は見られませんが、高負荷作業になるとマスクによる血液中のガス濃度の変化は大きくなるといわれています。
そのため、マスクが必要な作業現場でも、作業の負荷によってマスクの素材やフェイスシールドなどを使い分けたり、空調設備や作業時間の調整などで熱中症リスクを和らげたりするような工夫が必要です。
マスクをつけての作業はより熱中症予防をすること
夏場の作業は特に、十分な熱中症予防が必要です。
エアコン等で室温を調整したり、こまめにマスクをはずしたりすること以外にも、様々な対策があります。
無理のない範囲で作業をする
熱中症の症状は、自覚していないうちから始まっていることが少なくありません。
そのため、余力があると思っても無理をせずに作業をすることが大切です。気温が高い日や日差しが強い時間帯は涼しい場所での作業や軽作業を中心に行い、意識して定期的に涼める所での休憩をとるようにしましょう。
また、体調が思わしくないと感じた場合は、早退や欠勤も検討したほうがよいでしょう。
体を冷やすようにする
マスクを着用して作業をしなければならない場合は、できるだけ体を冷やすようにすることで熱中症のリスクを軽減できます。
可能であれば薄手の服装で、難しいようならば衣服を緩めて通気性を良くするだけでも体温を下げることが可能です。
血管が集中している首の周りや脇の下、足の付け根などを冷やすだけでも体感温度がずいぶん変わってきますので、適宜水道水や濡れタオル、保冷剤などで冷やしましょう。真夏用の冷感グッズが多く出回っていますので、これらを利用するのもおすすめです。
熱中症対策におすすめな「空調服」「ネッククーラー」などのアイテムは過去記事でまとめています。
水分補給はしっかり行う
熱中症対策としてよく知られている水分補給は、マスクを着用している時こそ意識して行う必要があります。
目安としては1日あたり1.2リットル程度を摂取しますが、汗で水分と一緒に塩分も失われていますので、水やお茶と共に摂るようにしましょう。塩分やビタミン、ミネラルが含まれたタブレットや飴などが手軽に持ち運べて便利です。また、経口補水液も体に必要な栄養素が含まれています。
スポーツドリンクも飲みやすく塩分が含まれていますが、糖分の割合も高いので飲みすぎないように注意しましょう。
なお、喉の渇きを感じるときはすでに体内の水分が不足した状態です。時間を見て、喉が渇いていなくても定期的に水分を摂るようにするとよいでしょう。
水分は取れていても、ミネラル分が不足しそうなときは、“塩熱サプリ”もおすすめです。
こちらのアイテムは、汗で大量に流れ出てしまうナトリウム分を補給するのに適したタブレットです。
熱中症対策で忘れがちになるミネラルをしっかり補ってくれます。
日ごろから体調管理と体力づくりをする
熱中症はある程度症状が進んでから自覚することが多いです。
そのため、毎日のルーティンとして体温測定や食欲、倦怠感などの健康チェックをすることをおすすめします。少しでも不調を感じたり数値に異常が見られたら、作業前にその旨を周囲に伝えておいたり、無理をせず作業時間の短縮や休憩を申し出たりしましょう。
また、体力がつくと熱中症への抵抗力も高まります。夏が近づいてきたら、仕事に負担のない範囲で適度な運動をする、栄養バランスのとれた食事をする、質の良い睡眠を意識するなどの体づくりに注力しましょう。
熱中症の症状や対処法を知っておく
どれだけ体調管理や作業環境に気を付けていても、熱中症にかかる可能性はあります。
そのため、現場の作業員にある程度熱中症の症状や対処法を周知しておくことも重要です。
例えば、熱中症の代表的な症状は、めまいや立ちくらみ以外にも手足のしびれや頭痛、吐き気、倦怠感などがあります。一見熱中症の症状に思えないため、そのまま無理をする人もいますが、マスクを着用した状態で作業を続けると重症化しやすいので危険です。
重症化すると、会話が困難になる、けいれんや発熱が見られる、意識を失うなどの症状が出ますので、周囲の人がすぐに涼しい場所に移動して体を冷やし、可能であれば水分を摂らせる、救急車を呼ぶなどの処置を行いましょう。迅速に対応することで回復も早まります。
新しい生活様式に合わせた熱中症対策を
このように、真夏のマスク生活は熱中症のリスクが高いですが、ある程度予防や対策を講じることは可能です。
全くマスクを使わない状態で生活することは難しいですが、マスクが一般的になった分、快適に過ごすための便利グッズが増えたり、職場の環境改善に取り組む企業が増えたりしています。自分でも無理をしないように心がけることで、熱中症のリスクを大幅に減らせるでしょう。