線状降水帯とは?いつから注目されるようになった?発生のメカニズムや対策を考えよう

線状降水帯とは?いつから注目されるようになった?発生のメカニズムや対策を考えよう

梅雨が終わる頃になると、天気予報では線状降水帯というワードがよく出てきます。線状降水帯は、想像以上の大雨をもたらし人々の生活に大きな影響を与えることもある厄介な現象です。

建設現場・工事現場においては、線状降水帯による集中豪雨で作業中止となり工期が長引くこともあるので悩みのタネと言えるでしょう。

そんな線状降水帯ですが良くわからない方に、線状降水帯はいつから注目されるようになったのか?発生のメカニズムやできる対策について紹介させていただきます。

線状降水帯はいつから世間に認知されるようになったの?

積乱雲の画像

以前から、線状の降水域が存在して集中豪雨が発生することは確認されていました。

世間で認知されるようになったのは、2013年8月に発生した秋田・岩手の大雨と2014年8月に発生した広島の大雨が大きな被害をもたらしたことがきっかけです。

過去に起きた豪雨の被害

2013年の秋田・岩手を襲った大雨では、河川の増水や土砂災害を引き起こし、2県で死者8名負傷者12名という犠牲者がでました。さらに大雨によって家を壊されたり田畑が深刻な被害を被ったことで、影響は長く続きました。2014年の広島を襲った大雨では、局所的に雨が集中したことで大きな土石流が発生。土石流は夜間に発生し、多くの人が住んでいた地域に襲いかかったことから、犠牲者の数が死者77名負傷者44名となりました。これほど大規模な犠牲者がでるのは、昭和58年7月に中国地方を襲った豪雨以来。

被害の大きさから、それまでは注目されていなかった線状降水帯の危険性が一般的にも認知されるようになり、天気予報でも当たり前のように登場するワードになりました。

令和になってから毎年、線状降水帯による集中豪雨というキーワードを聞くようになりましたね。

線状降水帯が発生する時期はいつが多いの?

線状降水帯は、梅雨が終わりかける7月頃から発生することが多いです。

その時期になる理由は、線状降水帯は、積乱雲が同じ場所で繰り返し発生することで起きる現象だからです。

ひとつの積乱雲は30分から1時間もすれば消えてしまうことが多いのですが、それを補うように新しい積乱雲が生まれて残っている積乱雲のところまで移動して列をなすので、線状で降水帯をつくりだします。

線状降水帯が発生しやすい時期は5月〜7月

夏の画像

線状降水帯が発生しやすい時期とは、積乱雲が発生しやすい時期。

積乱雲は、上空の冷たい空気と地上の暖かい空気が層となっている大気が不安定な状態だと発生しやすくなります。それを踏まえると、積乱雲が発生しやすいのは梅雨前線があるときです。

梅雨前線とは、簡単に言えば冷たい空気と暖かい空気の境目のこと。

前線の北側には春の名残である冷たい空気が存在しています。そこに東シナ海から暖かく湿った空気が押し寄せれば、冷たい空気と暖かい空気の層ができ、大気は不安定な状態になります。

大気が不安定な状態になれば、次々と積乱雲が発生して線状降水帯ができるというメカニズムです。

気象庁でも線状降水帯の予測が難しいので発表が直前になる

気象庁では2022年6月より線状降水帯が大雨をもたらす可能性が高いときに、複数の県にまたがる広域を対象とした予測を、発生の半日程度前から気象情報で伝える取り組みを始めています。

しかし、半日程度前に発表される予測では避難できない人もでてくるでしょう。

屋外現場での仕事も、中止の判断が間に合わない可能性があります。

なぜ、余裕を持って予測を発表できないのかというと、線状降水帯を構成する積乱雲が短時間で発生するからです。

今後のテクノロジーの発展に期待

積乱雲は、短時間で発生し数時間で発達しては消えていきます。しかも、その発生場所は、非常に狭い範囲です。台風のように、何日後にはこの地域で線状降水帯が発生すると言えるほどの精度が高い予測はできません。

https://bizna.jp/wp-content/uploads/2020/09/台風シーズン.png

さらに予測が難しくなる原因は、気象レーダーにもあります。従来の気象レーダーは、アンテナを回転させながら電波を発射する仕組みです。そのため、同じ場所の計測をするのに一定の間隔が空いてしまいます。短時間で発生して大雨を降らせる積乱雲が相手だと、発生する間隔が短すぎるために動きを正確に捉えることができず技術的に発生予測が難しいという事情があります。

しかし、この気象レーダーの問題は最新式の気象レーダーであれば解決できる見込みのようです。各地に設置できたら、予測の精度を高まるようなので技術の発展に期待しましょう。

30秒おきに観測するフェーズドアレイ気象レーダーは、正しい位置で線状降水帯の予測に成功。1時間先までの雨雲の予測精度が約5倍向上した。

引用:線状降水帯の予測精度向上 最新レーダー配置で―理研など試算:時事ドットコム

線状降水帯による大雨・ゲリラ豪雨の被害を最小限に食い止める対策

雨が降っている様子

線状降水帯による大雨・ゲリラ豪雨ですが、気象庁から半日程度前に発表される予測を活かして対策を講じれば、被害を最小限に食い止めることが期待できます。

短時間で大雨が降ると都市の排水量を上回る降雨や河川の洪水氾濫により、床上浸水が起きる可能性が高いので浸水が起こりやすいエリアの方は建物の扉の前に土のうや水のうを積んでおきましょう。

家庭・小規模施設では土嚢・水のうが有効

土のう袋・水のう袋はホームセンターでも売っていますし、なければゴミ袋に土や水を入れて口を結んでおけば十分です。土のう・水のうは軽いと水の勢いに負けて流されるので、何段にも重ねておくことをおすすめします。

土嚢と水のうの違いは?水のうはいざという時にすぐ作れるからとてもおすすめ!

浸水が心配な場合は、下水道が雨水で溢れて逆流する可能性があるので土のう・水のうを水回りにも忘れずに設置しておきましょう。下水道から逆流するのは汚水ですから、水びたしになるだけでなくひどい匂いが建物内に広がり、水が引いた後も残るので注意しなければいけません。

トイレ、洗面、風呂場などの排水溝を塞ぐにように置けば汚水による被害は防げるので安心です。

企業で対策する場合は止水板も有効

止水板

引用:ボックスウォール BW52A | 【ミドリ安全】公式通販

地域によっては、雨による氾濫リスクが違いますが施設の規模感によっては止水板が有効な対策になります。

止水板は工事等が必要になるものだけではなく、必要に応じて設置できるものもございますのでハザードマップで洪水が心配な地域は必要に応じて対応しましょう。

水害被害に遭いやすい地域に住んでいる方はライフジャケットなども

水害から命を守るためには、ライフジャケットも有効です。

大人であっても、水深が30センチあれば溺れてしまいます。扉も30センチの水圧で開かなくなります。水があふれるくらいで命の危険がないと思うのは大間違いです。もし、大雨により水に流されるようなことがあれば、ライフジャケットの浮力で溺れるのを防げます。

線状降水帯による大雨、ゲリラ豪雨に対する水害対策はぜひご家庭や職場で確認するようにしましょう。

水害対策グッズを探している方はこちらをご確認ください。

外部ページになりますが「水害対策チェックリスト」が記事の最後の方についているので確認する時に便利です。

ミドリ安全の水害対策特集ページ

線状降水帯による大雨・ゲリラ豪雨に注意して暮らす

集中豪雨

線状降水帯による大雨・ゲリラ豪雨は、ときに多くの人命や財産を奪う危険な現象です。

日本では毎年、異常な量の雨がどこかに降り災害が発生しています。

水害の発生は、毎年6月~7月の梅雨のシーズンや8月~9月の台風シーズンに集中しています。特に、近年は、ゲリラ豪雨と呼ばれる時間雨量50mmを超える豪雨の発生件数が増加傾向にあります。

引用:河川の氾濫や高潮など、水害からあなたの地域を守る、「水防」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

豪雨などで10年間に一度も河川の氾濫などによる水害が起きていない市区町村は3.2%。とほとんどの地域でいつ起きてもおかしくない災害です。

もし、住んでいる地域、仕事で出向かなければいけない地域で、線状降水帯が発生すると予測されたときには、命や財産を守るためにすばやく対策を講じるようにしましょう。

災害対策は基本的に準備していたかどうかで被害規模や被災後の状況が変わります。

この記事を読んでくださった方は自宅や職場などの対策を見直してみてはいかがでしょうか。

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