建設業界といえど仕事は工事や建設作業だけでは終わりません。
一般の企業と同じ様にデスクワークも仕事の一部です。図面の作成や現場写真の管理、施工計画などさまざまな書類作成の仕事があります。
これら書類作成の仕事の1つに、労務安全書類(グリーンファイル)があります。
この労務安全書類の概要と、労務安全書類の中で、主要なもの9種を紹介していきます。
労務安全書類とは?
労務安全書類は、安全書類や安全衛生書類ともいわれる「建設現場の安全を守るために必要な書類」のことです。
これら労務安全書類は主なものだけでも20種類以上は存在します。
全国建設業協会が出している「全健統一様式」が基本的な書式スタイルですが、ゼネコンごとに用意されている場合もあります。
ただし、どちらの書式スタイルにしても求められる記入内容に大差はありません。
関係会社、人員に関わる主要安全書類
現場で主要な安全書類の種類と概要を紹介します。
下請負業者編成表
この書類はどういった会社が工事に関わっているかを明瞭にするために必要な書類です。
下請負業者編成表の作成義務は一次下請負のみになります。
理由は下請負業者編成表は一次下請負と二次下請負以下の会社との契約内容をまとめたものだからです。
ただし、二次下請負に協力を求めない場合は、次に説明する下請負業者編成表を作成する必要はありません。
再下請負通知書
これは一次下請負以下の契約の内容を元請けに報告するために用意する書類となります。
「再下請負通知書」を参照することで工事に携わっている業者の把握や、工事が適切に実施できるのかを元請けが判断することができます。再下請負通知書は、一次下請以下で下請けの契約を締結した協力会社に作成義務が発生します。
工事内容に変更がある度に新しく書き上げて提出する必要があるので注意しましょう。
作業員名簿
作業員の氏名、住所などを記入します。現場作業員の雇用管理状況を把握するためのものです。
この書類は一次下請負以下の協力会社が作成します。
外国人建設就労者現場入場届出書
一次下請負以下の協力会社の外国人建設就労者が工事現場に入場するために用意します。
元・技能実習生の外国人にとって必要な書類で、今現在技能実習生の外国人であれば、この書類は必要ありません。
機材などに関わる主要安全書類
持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届
現場で使用する重機などを管理するための安全書類です。
作成義務は重機などを使用するそれぞれの下請負にあります。車検証や任意保険証のコピーなどとともに、機械を現場に持ち込む度に提出します。
(工事・通勤)用車両届
現場で使用する工事関係車両の管理に必要な書類になります。作成義務が発生するのは車両を使用する一次下請負以下の会社です。通勤車両や、移動用の社用車もこれに該当します。
火器使用届
工事の際に火を使う場合や、ストーブなどの火を使う暖房を使用する際に必要な書類となります。作成義務はこれらを使用する一次下請負以下の会社です。
ただし、火器を使用するのが二次、三次下請負の場合は一次下請会社に提出します。間違えて元請けに提出しないよう注意が必要です。
持込機械等(電気工具/電気溶接機等)使用届
現場で使用する機械に不備がないことを証明する書類です。機械を使用する一次下請負以下の会社が書類を書き上げて元請け会社に差し出します。
安全衛生計画書
この書類には現場での安全衛生の指標や、安全指導の予定などを書き込みます。1現場につき年1で作成するのが一般的です。
基本的には一次下請負が作成しますが、元請けによってはそれぞれの下請負が作成するケースもあります。
労務安全書類は安全管理のために必須
労務安全書類は元請けが現場の人間や、機械などの安全を管理するために必要な書類です。
これらを疎かにしてしまうと、現場で仕事をする人たちが安心して仕事につけません。自分や仲間たちの身を守るためにも労務安全書類はきちんと管理、作成、提出することが必要です。