フルハーネス義務化によって何が変わった?改正内容と取るべき対策・罰則

フルハーネス義務化によって何が変わった?改正内容と取るべき対策・罰則

2019年2月1日より、高所作業におけるフルハーネスの使用が義務化されました。現在、高所作業を伴う多くの事業所・作業現場で、フルハーネス化が進められていることと思います。この記事では、2018年に公布された『労働安全衛生法施行令』第13条の改正内容についてまとめ、新法令に適応しているおすすめのフルハーネスをご紹介しています。

フルハーネス義務化|改正内容は?

フルハーネス義務化|改正内容は?

今回改正された内容は、主に以下の3点です。

胴ベルト型のU字吊り具が禁止に

以前は腰に1本のベルトを巻いた状態の「胴ベルト」を装着した状態で、作業者が体を支えるための柱などにワイヤーロープを回す形の「U字つり用胴ベルト」という装置が「安全帯」として認められていました。

今回の改正では、「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に変更となります。

それに伴って、墜落制止機能のないU字つりについては、対象から除外されることとなりました。

なお、従来の安全帯に含まれていた「ワークポジショニング用器具」としてのU字つり用胴ベルトは禁止の対象にはなっていません。

フルハーネス型が原則に

胴ベルト型(1本つり)は、墜落制止機能はあるものの、落下時の衝撃が胴体に集中してしまいます。

そのため、万が一の際、体に大きなダメージがあることが予想されます。

改正法令では、原則としてフルハーネス型を使用することとなっており、例外として高さが6.75m以下の場合のみ、胴ベルト型(1本つり)を使用することができるものとされています。

安全衛生特別教育が必要

高さが2m以上で、作業床を設けることが難しい作業現場、かつフルハーネス型の墜落制止用器具を用いる作業にかかわる業務に携わる労働者は、安全衛生特別教育を受けなければならないとされています。

安全衛生特別教育の内容については、後述します。

フルハーネス義務化|改正時期は?

フルハーネス義務化|改正時期は?

改正労働安全衛生法施行令は、2018年に公布され、2019年2月に施行となりました。

旧来の法令に基づく安全帯の使用は2022年1月1日まで認められていますが、その後は旧来の法令に基づく安全帯の製造・販売のいずれも認められていません。

移行期間である2019年2月から2021年12月の間は、旧来規格の安全帯と、新規格の墜落制止用器具の両方が販売されているため、購入の際は注意が必要です。

もちろん、2022年1月2日以降に、旧規格の安全帯を使用していた場合は法令違反となります。

また、安全衛生特別講習には猶予期間がなく、2019年2月1日以降に未受講のまま業務に当たっている場合も、同じく処罰の対象となります。

具体的には、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金となる可能性があります。

必ず、規格を確認して使用するように心がけましょう。

安全衛生特別教育の内容は?

安全衛生特別教育の内容は?

安全衛生特別教育は、学科4.5時間、実技1.5時間の計6時間実施されます。

学科には4科目あり、実技は1科目となっています。

なお、フルハーネス型墜落制止用器具の使用などに関して、十分な知識と経験を有していると認められる者に対しては、学科や実技の一部科目を省略することもできます。

学科は4科目4.5時間

学科4科目は、以下の通りです。

 

  • Ⅰ 作業に関する知識(1時間)
  • Ⅱ 墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識(2時間)
  • Ⅲ 労働災害の防止に関する知識(1時間)
  • Ⅳ 関係法令(0.5時間)

 

 

2019年2月1日時点で、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いた作業に6ヶ月以上従事している場合は、ⅠとⅡの受講を省略できます。

高所作業において胴ベルト型を用いて行う作業に6ヶ月以上従事していた人は、Ⅰの受講を省略できます。

また、ロープ高所作業特別教育受講者、足場の組立て等特別教育受講者は、Ⅲの受講を省略できます。

ただ、これらはいずれも高所作業に関する安全性の確保で重要な内容ですので、確認の意味も込めて再度受講しても良いでしょう。

実技は1科目1.5時間

実技は、

 

  • Ⅴ. 墜落制止用器具の使用方法等(1.5時間)

 

 

の1科目です。

こちらも、2019年2月1日時点で、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いた作業に6ヶ月以上従事している場合は、受講を省略できます。

フルハーネスに墜落制止用器具を装着する方法や、墜落制止用器具の点検・整備の方法などについて学ぶことができます。

新法令でも対応可能なフルハーネスのおすすめ

新法令でも対応可能なフルハーネスのおすすめ

それでは、新法令でも安心して使える、新規格対応のフルハーネスのおすすめアイテムをご紹介します。

【ミドリ安全】メッシュハーネス MHT-1-M/L

背面の一部をメッシュ式にすることで、上下左右、前後の判断が簡単になり、装着時の混乱を防げます。

また、太陽光や雨風で劣化しにくいように作られている金属製のバックルは、左右でブラックとシルバーに色分けされており、こちらも着用時に絡まって混乱する原因を解消しています。

骨盤をサポートする形で作られている腿ベルトで、落下時も衝撃を臀部全体に分散して、ケガや痛みの低減させることができます。

【タジマ】フルハーネス安全帯ZS 硬質スチール・ワンタッチ腿バックルモデル

肩に食い込まない46mmの幅広ベルトで、作業時の痛みや不快感を軽減することができます。

また、腿ベルトを水平に装着することで、食い込みによる不快感を防ぎます。

動きやすさとフィット感を重視したフルハーネスです。

【藤井電工】黒影ハーネス ダークグレー Mサイズ TH-504-OT-DG-M

黒影ハーネスのポイントは、束縛感の低さです。

左右独立型の水平型腿ベルトは、高い動きやすさを実現しています。

また、留め具がすべてバックル式のため、歩きながらの装着なども簡単にできます。

改正法令には早急に対応を!

改正法令には早急に対応を!

改正法令は2022年1月2日から完全適用となり、旧規格の安全帯は使用不能となります。

また、必要な安全衛生特別教育を受けていない作業員は、現場作業ができなくなってしまいます。改正法令への対応が完了していない場合は、早急に対応を行い、より安全な作業現場を目指していきましょう。

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