2023年(令和5年)10月に予定されている安衛法の法改正で、従来最大積載量5t以上のトラックに限定されていたヘルメット着用が2t以上のトラックにも拡大することになったこと及び、2024年(令和6年)2月に施行されるテールリフトゲーター(昇降装置)の特別教育義務についてその背景と具体的な影響についてわかりやすく解説します。
安衛法を遵守しなかったときの罰則やおすすめのヘルメットも紹介しますので、トラックの運搬に従事されている方や関連する業界で働いている方はぜひ読んでみて下さい。
もくじ
新たな安全対策として令和5年10月から2tトラック以上の運搬におけるヘルメット着用・昇降設備の設置が義務化が始まる!
今まで、最大積載量5t以上の貨物自動車を対象として荷物の積載作業する際には、ヘルメットを装着する義務がありましたが、ヘルメット装着義務が安全対策のため2023年10月からは最大積載量2t以上まで拡大されました。
軽トラックは積載量が350kgなので今回の法改正の対象外になりますが、街で見かける小型トラックは積載量が2tがほとんどなので対象のトラックはかなり多いです。また、業者だけではなく免許を取得した年によっては、2tトラック以上の車に乗れる人もいるので乗車して荷運びする場合には注意が必要です。
2023年(令和5年)以降については、コンビニの配送・宅配業者の配達・引越しなどトラックで物流をするあらゆる業種で荷物の積み下ろし作業時にヘルメットを着用することが普通になっていきます。
ヘルメットの着用義務化の背景は?
ヘルメットは頭部を保護し、作業中の事故や落下物からの直撃を防ぐための重要な装備です。2t以上のトラックでも、荷物の取り扱いや転倒時などのリスクが存在するため安全確保の観点から荷物の積み卸しをする際には装着が義務化されます。
トラックの労災は荷役作業中がほとんど
引用:陸上貨物運送事業におけるトラック荷台からの転落を防ぐために|厚生労働省
上記の厚生労働省の調べでによるとトラックの労働災害は、荷役作業中に発生したものが約70%ほど。特に作業者が荷台から昇降するときに多く発生していることを踏まえて最大積載量2t以上のトラックでもヘルメットの着用義務が発生するようになりました。
昇降設備の設置義務が義務化
ヘルメットの着用義務に加えて最大積載量が「2トン以上」の貨物自動車で荷を積み卸す作業を行うときは、昇降設備を設置することが義務となります。
テールゲートリフターを設置していないトラックなどに関しては、労働者が安全に作業できるようにステップなどを設置しなければいけなくなります。さらに、2024年(令和6年)2月からは、テールゲートリフターを使う労働者は特別教育を受講しなくてはいけなくなりました。
参考:荷役労働災害防止対策 | 陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)
テールゲートリフターの特別教育が必要になった理由は?
テールゲートリフターは、荷物の昇降時に事故が発生しやすい装置であり、適切な操作が求められます。そのため、安全な使用方法を理解し、正確な操作を身につけることが求められています。
ちなみに、よく現場では「パワーゲート」と呼ばれることが多いですが、正式にはテールゲートリフターと言います。
テールゲートリフターは、場所を選ばずに荷台からの荷の積卸しを簡単にすることができるので荷物などの昇降装置として普及が進んでいる装置です。
でも、実際に作業者が使うときに機能や危険性を十分に認識していないことがあることにより、墜落・転落、荷の崩壊・倒壊等による災害が発生していることがあるのでテールゲートリフターの操作は労働安全衛生法に基づく特別教育が必要な業務に加えられました(令和6年2月1日施行)。
2024年2月1日以降は、特別教育を受けた者でなければテールゲートリフターによる荷役作業ができなくなります。法令を遵守しない企業(事業主)には罰則もあるので従業員に対して2024年1月末までに特別教育を受講させる必要があります。
- テールゲートリフターに関する知識 1.5h
- テールゲートリフターによる作業に関する知識 2h
- 関係法令 0.5h
- 実技:テールゲートリフターの操作の方法 2h以上
企業と労働者への具体的な影響は?
2023年10月から、最大積載量2t以上のトラックで荷役作業を行う場合に「ヘルメットの着用」とトラック自体に「昇降装置」を設置しなくてはならないため事前の準備やそれに伴うコスト増加が考えられます。
さらに、労働安全衛生法(安衛法)第119条、120条には罰則が規定されています。
ヘルメットの着用義務については、事業者(企業)と労働者の両方に罰則が、テールゲートリフターの設置・特別教育については事業者側に罰則がありますので対策は必ず行うようにしましょう。
ヘルメット(保護帽)選びのポイントは?
2023年10月から施行される、最大積載量2t以上のトラックでの荷役作業で着用しなくてはいけないヘルメット(保護帽)は、型式検定(国家検定)に合格した「墜落時保護用」の製品を使用しなければなりません。
その他にも、労働者が安全に作業するために
- サイズが適切であること
- 軽量で通気性の良いものを選ぶこと
などを意識するようにしましょう。
国家検定に合格した墜落時保護用のヘルメットを選ぶなら「ミドリ安全」がおすすめ
対象の事業主(企業)や個人(労働者)が違反した場合、罰則がありますので規定に則ったヘルメットを選ぶようにしましょう。
アマゾンや楽天などでコスパのいいヘルメットは販売していますが、労働者の命を守るために安全性の高い高性能な国家検定のヘルメットを選ぶ必要がありますので老舗のヘルメットメーカーであるミドリ安全さんのヘルメットがオススメです。すでに、特集ページを開設していたのでそちらを参考に選んでみて下さい。
ヘルメット着用義務化・昇降設備の設置義務化に備えよう
2023年10月から始まる、2tトラックでの荷役作業中のヘルメット着用の義務化、昇降装置の設置義務化。2024年2月から始まるテールゲートリフターの特別教育を受講しないと使用できない法改正についてまとめました。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令は難しい文言が多く、結局何をすればいいのかわからない方も多いと思いますので、できるだけわかりやすく記事にしてました。
今の所、理解しやすく図解でまとまった資料としておすすめなのは「陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)」のQ&Aのページなので信頼できるサイトで知りたい方はチェックしてみて下さい。
リンク:陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)のQ&Aページ
過去の事故などから運搬に関わる法律や道交法などは随時改正されています。(例えば2023年4月から自転車のヘルメット着用努力義務など。)
今回の安衛法の改正は、努力義務ではなく強制力を伴った義務化なので安全・円滑に作業を行う上で対象となる業者で働いている方は守らなくてはいけない法律です。安全な作業環境の実現に向けて、各企業や運転手が積極的に取り組むことが望まれます。
労働者にとってヘルメット着用は、めんどくさいことですが安全のために実施していきましょう!