建設の現場では運動量が多く汗をかきやすいだけでなく、日陰がないことも少なくないため、熱中症予防は積極的に行う必要があります。
この記事では、建設業に従事する人、そして建設業の事務として作業員の熱中症を予防するために、どのようなことに気を付けるべきかを解説します。
もくじ
熱中症になるメカニズムを知って予防!
「熱中症は夏になったらなりやすいもの」というアバウトな認識から、一歩先に踏み込んでみましょう。
熱中症の原因を知れば、対策も難しくありません。
気温・湿度が高くなり脱水を起こす
熱中症は「脱水によって体温調節がうまくできなくなった状態」です。
気温が上がると汗で水分を失いやすい、というのはイメージしやすいかもしれませんが、より気を付けたいのは、湿度が高い環境でも脱水を起こしやすいということです。
乾式サウナでは気温が90度近くに設定されているのに対して、湿式サウナ(ミストサウナ・ロウリュなど)だと、45度程度でもかなりの熱気を感じます。
このように、湿度が高いと熱が伝わりやすく、体温も上昇しやすくなってしまいます。
熱中症対策には、気温だけでなく、湿度も気にする必要があります。
水分と一緒にミネラルも失う
汗を大量にかいたときは、水分と一緒に体内のミネラルも失います。そのため、体温調節がうまくいかなくなってしまいます。
また、汗をかいた分と思って水だけを飲んでしまうと、体内のミネラル濃度が急激に低下し、これもまた体温調整がうまくいかなくなる原因となります。
【対策①】体温を上げすぎない
熱中症を予防するためには、まずは汗をかかないように体温を上げすぎない工夫が必要です。
具体的には、定期的に冷房の効いた部屋で休憩する、放熱ができる服装をする、冷たい飲み物をこまめに摂取するなどが挙げられます。
【対策②】水分・ミネラルを補給する
体温をあげすぎないように工夫していても、汗をまったくかかないでいることはできません。
そのため、適度に水分と一緒にミネラルを補給する必要があります。
ミネラルのなかでも特に欠乏しやすいのは、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどです。
これらを普段の食事から意識して摂取するのと同時に、大量に汗をかいたときには塩タブレットなどの形で補給しましょう。
【対策③】熱中症リスクを把握しておく
作業当日の気温・湿度を事前にある程度把握し、熱中症にどの程度なりやすいかのリスクを知っておきましょう。
リスクが高いと予想されるときには、事前に水やミネラル分を補給できるアイテムを用意したり、こまめに休憩をはさむように勤務時間を調整したりすることで、熱中症は大幅に予防できます。
熱中症予防おすすめグッズ12選
では、具体的に熱中症予防におすすめできるアイテムを種類豊富に12アイテムご紹介します。
①体温を上げすぎない
まずは、体温を下げる効果の期待できるグッズです。
【ミドリ安全】クールファン ベスト(ファン別売) WEV86上 アップルグリーン
多くの空調服は背中に近い位置にファンがついていますが、こちらのクールファンベストは脇腹部にファン穴があります。
これにより、壁に背中が接触しても吸気が可能です。
特徴的なのは、通気口が脇下に空いていることで、熱のこもりやすい脇部を積極的に冷やすことができる点です。
なお、こちらのアイテムはバッテリー・ファンが別売りとなっていますので、注意してください。
【BURTLE】エアークラフトベスト・黒ファン・13Vバッテリーセット AC1034 Lサイズ 52バーク
『BURTLE』の“エアークラフト”は、空調服と呼ばれるタイプの服です。
ポータブルバッテリーを利用してファンを回し、外気を服の中に取り入れて循環させることで、体温を下げる効果が期待できます。
『BURTLE』は空調服の中でもおしゃれなアイテムが多いことでも有名です。
ファッション性も意識しながら熱中症予防ができます。
【ミドリ安全】クールホルダー1dayセット
『ミドリ安全』の“クールホルダー1dayセット”は、両脇の下と背中を冷却できるインナーです。専用の保冷剤が付いており、40度の環境下で4時間の冷却効果が得られます。
また、予備の保冷剤も付属しているため、4時間の作業後に予備の保冷剤をセットすることで、最長8時間の連続使用も可能となっています。
体との接触を最小化することによって、より高い冷却効果と装着によるストレス感を減少させている点もポイントです。
【AYUAN】冷却ベスト
“冷却ベスト”は、その名の通り着ているだけで上半身を冷やせるというアイテムです。
商品を水で湿らせることで気化熱を生じさせ、体感温度を最大16度も下げる効果があります。
空調服は重くてかさばる、充電しなくてはいけないため使いづらいというような方におすすめです。
【TULTEX】アイスベスト(アイスパック4個付) AZ-865948
“アイスベスト”は、事前に準備しておいたアイスパックをベストのポケットに入れることで体温を下げることができるアイテムです。
瞬間的な冷却効果は、ほかのものよりも高いと言えるでしょう。
また、空調服と組み合わせることでさらに高い冷却効果が得られます。
【シャトードール】クールリング ネック アイスパック
人体のうち体温を効率的に冷やせるのは、首元、脇の下、鼠径部です。
このアイテムは、首を重点的に冷やすことで全身の体温を効率的に下げることができます。
大がかりな道具ではないので、準備・持ち運びも簡単というメリットがあります。
②水分・ミネラルを補給する
続いて、水分とミネラルを補給する、というポイントを満たすアイテムをご紹介します。
【Happy Belly】天然水 岐阜・養老 500ml×24本
汗の成分は、99%が水分といわれています。
ミネラル補給も必須ではありますが、体温を効率的に下げる効果もある冷たい水を用意しておくことをおすすめします。
事業所単位・季節単位で備えるのであれば、多数を一度に用意しておきましょう。
【大塚製薬】ポカリスエット 500ml×24本
ミネラル分と水分を同時に補給するのであれば、“ポカリスエット”がおすすめです。
汗の成分に近いバランスで各種ミネラルが配合されているため、乾いた体にぐんぐん染み込んでいきます。
脱水症状を起こす前に、早めに水・“ポカリスエット”を補給していきましょう。
【大塚製薬工場】経口補水液 オーエスワン 500mlx24本
脱水症状がやや進行しつつある場合には、経口補水液がおすすめです。
“オーエスワン”は人体の浸透圧とほぼ同じ飲み物です。
そのため、健康な時に飲むと味が薄く、おいしくないように感じられます。
一方で、脱水が進んでいる際に飲むと、非常においしく、味が濃く感じられます。
休憩時間が十分に取れていないときや、不規則な食生活を送りながら大量の汗をかいているときなど、脱水を起こしやすいときには、早めに“オーエスワン”を補給しておくと良いでしょう。
【ミドリ安全】塩熱サプリ 業務用 1粒包装 (120粒入)
水分は取れていても、ミネラル分が不足しそうなときは、“塩熱サプリ”もおすすめです。
こちらのアイテムは、汗で大量に流れ出てしまうナトリウム分を補給するのに適したタブレットです。
熱中症対策で忘れがちになるミネラルをしっかり補ってくれます。
③熱中症リスクの把握
最後に、熱中症のリスクを把握するためのアイテムをご紹介します。
【ミドリ安全】DNP電子ペーパー 熱中症注意喚起ボード
こちらは、高さ約1.3mの、大きな熱中症注意喚起ボードです。
現在の気温・湿度から熱中症のリスクを算出できる『暑さ指数』を自動で計算し、表示してくれます。
本体重量は9kgとやや重いですが、1台あることで現場全体のリスク管理が円滑に進みます。
【ドリテック】熱中症・インフルエンザ警告 温湿度計 O-311WT
直径13cm程度の、小さな温湿度計です。
1台で熱中症と空気感染症のリスク管理ができる優れものです。
現場全体に周知するのには小さすぎますが、管理者が確認するのには十分な性能があります。
熱中症予防は個人・全体でしっかりと
熱中症対策は、個人でできる面と、現場全体で取り組むことで効率がよくなるものがあります。
例えば、ウェアの工夫は個人で対応できる場合がほとんどです。
逆に、作業当日の現場における熱中症リスクは、個人管理よりも全体把握のほうが効率がよく、効果的に熱中症を予防できます。
「管理者がやってくれるだろう」「作業員が対策するだろう」ではなく、それぞれが当事者意識をもって熱中症対策に努めましょう。
熱中症で救急搬送や亡くなってしまう方は毎年少なくありません。
毎年大丈夫でも、年齢の経過などが原因で体力が落ちている可能性があります。万全の体制で夏の現場に挑みましょう!