「建設業退職金共済」という制度は、建築従事者の退職金制度のことです。
運営元が国なので、中小企業で働いている人でも退職金がきちんともらえる安心の制度。
建退共(ケンタイキョウ)と呼ばれることが多いです。
建設業界で働く方なら、元請け・下請け・会社規模などを問わず加入することができますので多くの事業主(企業)が加入しています。
建退共は労働者の金銭負担は一切ないので、建築業界で働く年数でもらえる退職金が決まります。
労働者にとってかなりメリットがある建退共を紹介します!
建退共とは?
一般的な企業では長く働くと企業から退職金がもらえることが多いですが、建築業界は就労の契約が様々なのでなかなか退職金がもらえる会社が少ないので建設現場で働く労働者・一人親方さんがしっかりと退職金を支給されるように国によって設立された退職金制度です。
企業で働いている人だけが対象ではく、個人事業主として働いている左官さんや電気工事士も対象なのが嬉しいポイントです。
建退共のメリット
建退共に加入することは労働者も企業もお互いにメリットがあります。
それぞれのメリットを紹介します。
労働者のメリット
建退共に加入する会社で働けば、労働者は建設業界を辞めるか55歳以上になると退職金がもらえます。
労働者が金銭負担することがないので単純に大きなメリットです。
- 建設業で働かなくなった場合
- 事業主になった場合
- 55歳以上になった場合
- 病気やケガなどで働けなくなった場合
2年間(24カ月)以上、建退共加入の会社で働くことで退職金がもらえる対象になります。
退職金の水準は数年ごとに見直されるので金額の誤差はありますが、働いた年数でこのくらいもらえます。
年数(月数) | 退職金額 |
---|---|
2年(24月) | 156,240円 |
5年(60月) | 408,177円 |
10年(120月) | 936,789円 |
15年(180月) | 1,548,078円 |
20年(240月) | 2,205,588円 |
25年(300月) | 2,927,547円 |
30年(360月) | 3,717,861円 |
35年(420月) | 4,610,382円 |
37年(444月) | 4,999,680円 |
40年(480月) | 5,633,754円 |
労働者の働いた年数は、建退共に加入している会社間であれば転職しても通算で計算できますので、建設業で働き続けるなら建退共に加入している会社を選んだほうがメリットがあるということです。
事業主(会社側)のメリット
労働者1人につき1日310円の費用はかかるのがデメリットですが、
税法上の取扱い
事業主が払い込む掛金は、法人では損金、個人では必要経費として全額非課税となります。
(法人税法施行令第135条第1号、所得税法施行令第64条第2項)
労働者にとって重要な福利厚生なので必要経費で落ちるのはメリットです。
経費以外でも人材獲得においてメリットがあります。
- 転職者が増え、離職者が減る
- 公共工事を受注しやすくなる
一番大きいのは、労働者にとって働きやすい会社になるということです。
転職や就職するときに同じような条件の会社で迷っているなら退職金を受け取れる会社を労働者が選ぶのは当たり前の選択です。
また、公共工事の入札で有利になることがあります。
建退共の注意点
労働者が注意しなくてはいけないことは、建設業界で働いている内は建退共に加入している会社で働いている期間で退職金額が変わるということです。
大手ゼネコンで働いていれば100%加入しているので安心ですが、中小企業で加入していない会社で働く場合はその期間は退職金の計算がされません。
例えば、建退共加入の会社で5年働いて建退共非加入の会社に転職して10年働いても、建退共加入の会社で働いた5年分の退職金しかもらえないということです。
事業主、特に一人親方の個人事業主建退共に加入した時の注意点は、
- 運用利回り、証紙代金は5年毎に更新がある
- 加入後2年以内の解約は給付金がない
今現在は、約312万円の掛金(40年間の証紙代金)で、約563万円の退職金を支給してくれますが、5年ごとに更新されているのでいつまでも利回りがいいとは限らないこと。
加入して2年以内でやめてしまうとお金が返ってこないことがデメリットになります。
まとめ
建設業退職金共済は、建築従事者の退職金制度。
建築業界で仕事をしている人には嬉しい退職金制度です。
建退共に加入している会社の割合は、
元請の会社>1次下請の会社>2次下請の会社…
お金がある会社ほど加入している確率が上がりますので、転職するときは企業体力があるかどうかも判断できる材料になりますので建退共に加入しているかどうかで判断してもいいかもしれません。