現場の一酸化炭素中毒を防ぐには?冬の暖房や発電機の換気と警報器の使い方

現場の一酸化炭素中毒を防ぐには?冬の暖房や発電機の換気と警報器の使い方

冬の現場はジェットヒーターや石油ストーブをつけたまま、窓もシャッターも閉めきりになりがちです。そこに発電機やエンジンの機械が加わると、空気中の一酸化炭素がどんどん増えていきます。

一酸化炭素には色もにおいもありません。この記事では厚生労働省の資料と法令をもとに、現場でやることを順番にまとめました。

資料に出てくる「内燃機関を有する機械」は、ガソリンなどを燃やしてエンジンで動く機械のことです。発電機やエンジン式の溶接機や運搬機械がこれにあたります。

安全くん
やることは3つだけです。燃やす機械を閉めきった場所で使わない。作業の前に換気の方法を決める。警報器で濃度を数字で見えるようにする。
この記事でわかること
  • 現場で一酸化炭素中毒が起きやすい機械と場所
  • 症状に気づきにくい理由と、においで判断してはいけない理由
  • 厚労省が載せた令和元年の事例11件から見える発生の時期ときっかけ
  • 閉めきりになりやすい場所と送風機を使った換気のしかた
  • 労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則に書かれた換気の決まり
  • 警報器やガス検知器の選び方と異常を感じたときの動き方
出典元の明示
  • 症状と対策と事例は、厚労省の「職場のあんぜんサイト」と建設業向けのガイドラインの原文で確かめました
  • 条文は2026年10月4日に e-Gov 法令検索(労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則)で確認しました
  • 商品の値段と仕様は2026年10月4日にミドリ安全.comの商品ページで確認しました
  • 引用は原文のまま載せ、出典のリンクは記事の最後にまとめました

現場で多いほかの事故は建築現場の事故と三大災害の防ぎ方で紹介しています。あわせて読むと安全対策の全体がつかめます。

まずは詰め所や休憩室の暖房を、燃やさない物に替える方法です。電気のヒーターなら一酸化炭素は出ません。広い作業場の暖房はあとの章で紹介します。

セラミックファンヒーター JCH-M082T(ミドリ安全.com)

ミドリ安全 セラミックファンヒーター JCH-M082T

詰め所の足元を燃やさずに温めるヒーターです

おすすめポイント
  • 電気で温めるので燃やす暖房と違って一酸化炭素が出ない。詰め所や事務所の足元に置ける小ささ
  • 400Wと800Wの2段階。人感センサーで人がいないときは自動で切れる
  • 幅17.6×奥行14.5×高さ28cmで重さは約1.8kg。消費電力は50Hzで760W、60Hzで710W
  • ミドリ安全.comの販売価格は10,912円(税込・税抜9,920円)
電気容量に余裕のあるコンセントで使ってください。広い作業場全体を温める物ではありません。

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現場で一酸化炭素中毒が起きるのはどんなとき?暖房や発電機やエンジンの機械

一酸化炭素はものが不完全燃焼したときに出ます。不完全燃焼は空気が足りなくて燃えきらない状態のことです。

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」は、災害が起きやすい場面としてまず次の2つを挙げています。

換気が不十分な場所における火気の使用や、冬場の土木作業におけるコンクリート養生作業

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「一酸化炭素中毒(CO中毒)」

続けてエンジンを使う場面も挙げています。

トンネル等におけるガソリンエンジン、発電機の使用、換気の悪い場所でのエンジンの空ふかしなどがあります

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「一酸化炭素中毒(CO中毒)」

建設業の指針は発生源を次の3つに分けています。

  • 通気が不十分な場所で使うエンジンの機械
  • 練炭コンロを使うコンクリート養生
  • 暖房器具の不完全燃焼

暖房:ジェットヒーターや石油ストーブ

冬の現場で最初に思い浮かぶのが暖房です。燃料を燃やして温める物は、空気が足りないと一酸化炭素が出ます。

厚労省が載せた令和元年の事例にも暖房の例があります。漁網の整備をしていた屋内の作業場で、廃油ストーブのまわりで休憩していた人たちの話です。

作業者8名が煙突付き廃油ストーブの周りで20分程休憩していたところ、うち6名が頭痛、目眩を訴え

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等(令和元年)」

6人は診療所で一酸化炭素中毒と診断されました。同じ事例には換気の状況も書かれています。

換気扇、給気口等はなく、窓は常に締め切っており

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等(令和元年)」

シャッターも扉も朝から開けていませんでした。

休憩は体を休めるために同じ場所に長くいる時間です。寒いからと閉めきって温まる場面は、倉庫の詰め所や工場の休憩室にもあります。

発電機やエンジンの機械:トンネルや地下だけの話ではない

発電機やガソリンで動く機械も発生源です。エンジンの排気ガスには一酸化炭素が含まれています。

令和元年の事例には、水路トンネルの中でエンジン式の溶接機が原因になった例があります。コンクリート壁の型枠を組み立てていた人の話です。

そばにあったエンジン式溶接機の排気を吸い込んで倒れ、搬入先の病院で急性一酸化炭素中毒と診断されたもの

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等(令和元年)」

この事例では送風機が動いていました。それでも換気が足りなかった可能性があると書かれています。

送風機を置いただけでは換気ができたとは言えません。くわしくはあとの換気の章で説明します。

車の中や駐車場も現場になる

仕事のあとの駐車場で起きた例もあります。早朝までの勤務を終えて、雪に覆われた車の中でエンジンをかけて暖を取った人の話です。

車のマフラーが雪に埋もれていたため、排気ガスがエアコンの吸気口から車内に入ったと推定される。

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等(令和元年)」

雪の日はマフラーの出口が雪でふさがっていないか先に見ておきましょう。待機するときも、エンジンをかけたまま長く過ごさないようにしてください。

令和元年の事例は何がきっかけで起きていたのか。厚労省のページに載っていた11件を数えました。

令和元年の一酸化炭素中毒11事例のきっかけ別のグラフ(厨房や調理のガス機器と練炭が5件)

図の中身を文字でも書いておきます。

  • 厨房や調理のガス機器と練炭:5件
  • エンジンの機械や車:2件
  • 暖房のストーブ:1件
  • そのほか:3件
厚労省のページは「災害予防の参考となる一部の事例」を載せたもので、全件ではありません。載っている最新の年が令和元年です。割合や傾向を示す数字ではなく、どんな場面で起きているかを見るために数えました。

暖房のストーブは1件だけですが、具合が悪くなったのは6人でした。休憩のあいだ同じ場所にいた人たちがまとめて被災しています。

そのほかの3件は、配管から逆流した排ガスやLPガスコンロやトンネルの発破でした。暖房やエンジンだけでなく厨房のガス機器まで入っているのが特徴です。

一酸化炭素中毒の症状は?気づかないうちに動けなくなる理由

一酸化炭素中毒は軽い症状から始まり、気づかないうちに悪化します。職場のあんぜんサイトの説明は次のとおりです。

一酸化炭素中毒は、軽度の頭痛、吐き気等からはじまり

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「一酸化炭素中毒(CO中毒)」

その先はこう続きます。

昏倒、致命傷に至るため、無意識のうちに被災するという特徴があります

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「一酸化炭素中毒(CO中毒)」

気をつけたいのは、頭痛や吐き気を寒さや疲れのせいにしてしまうことです。ストーブのそばで頭が痛くなったら、風邪より先に換気を疑いましょう。

なぜ気づけない?色もにおいもない

建設業の指針の解説にはこう書かれています。

一酸化炭素は、無色、無臭の気体であることから気付かずに吸入することが多く

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

毒性の強さについてはこう続きます。

この毒性は極めて強く死に至ることも多い

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

職場のあんぜんサイトによると、一酸化炭素は血液の中で酸素の運び役と結びつきやすい性質があります。そのため吸い込むと体に酸素が届きにくくなります。

においで判断してはいけない

指針は防毒マスクなどの呼吸用保護具の使い方について、はっきりこう書いています。

一酸化炭素は無臭であるので、臭気の有無を基準に呼吸用保護具の使用の判断等は絶対行わないこと。

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

においがしないから大丈夫とは言えません。ガスがあるかどうかは、濃度計や警報器の数字で確かめましょう。

ppmとは?現場の数字はどこで決まる

ppmは100万分の1を表す濃度の単位です。何ppmから危ないのかは気になるところだと思います。

ただ、厚労省の建設業の指針の本文に退避する濃度の数字は書かれていません。症状が出る濃度を段階に分けた表はネットにいくつもありますが、資料ごとに分け方が違います。この記事では原文で確かめられた数字だけを載せます。

確かめられた数字のひとつは事務所衛生基準規則の5条にあります。空気調和設備や機械換気設備のある事務所では、供給する空気の一酸化炭素を100万分の10以下にするという決まりです。

外の空気が汚れていて10ppm以下にできないときは100万分の20以下です。これは事務所の空気の基準で、ストーブや発電機を使う作業場の限度ではありません。

何ppmになったら退避するかは、警報器の設定と作業手順書で決めておきましょう。警報が鳴る濃度は機種で違うので、取扱説明書の数字を作業手順書に写しておくと安心です。

指針は作業手順書に「一酸化炭素濃度の測定機材の種類・測定方法・測定時期」と「警報装置の種類」を書くとしています。くわしくはあとの警報器の章で紹介します。

一酸化炭素中毒は冬だけ?事例が起きた月で見る

冬に増えるイメージがありますが、事例を月で並べると少し違って見えます。令和元年の11件を月ごとに数えました。

厚生労働省が掲載した令和元年の一酸化炭素中毒の11事例が起きた月のグラフ(6月が4件で最多、1月2件、9月2件)

図の中身を文字でも書いておきます。

  • 1月:2件 3月:1件 5月:1件
  • 6月:4件 7月:1件 9月:2件

いちばん多いのは6月の4件で、7月と9月にも起きています。炊飯室や厨房やトンネルのように、季節に関係なくガス機器やエンジンを使う場所で起きているからです。

厚労省が載せた一部の事例を数えたもので、月ごとの全体の件数ではありません。冬に多いか夏に少ないかを示す数字ではない点に注意してください。

東京消防庁の数字:住宅では12月と1月に多い

冬に多いことを示す数字は東京消防庁が出しています。住宅と共同住宅の統計ですが、暖房を使う季節の傾向がわかります。

1月が8件と最も多く、次いで12月が6件と多く発生しています

出典:東京消防庁「住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!」

同じページによると、5年間の30件のうち12月と1月が合わせて14件です。現場の詰め所が同じ数字になるとは言えませんが、窓を閉めて暖房を使う点は住宅と同じです。

暖房を使う冬は閉めきる時間が長いので増えます。そしてガス機器やエンジンを使う現場では、冬以外でも起きています。

氷点下になる冬の朝の現場でのそなえは、こちらの記事を参考にしてください。

冬日と真冬日の違いは何度から?各地の日数と氷点下の朝に現場で備えること

現場の換気のやり方:閉めきりになりやすい場所と送風機の使い方

換気は窓を少し開ければ終わりではありません。建設業の指針は換気のやり方を具体的に決めています。

作業環境管理の項目から、現場で使いやすい点を拾いました。

  • 自然換気のときは十分に換気できたことを確認する
  • 換気は均一に行う
  • 作業を始める前に換気の効果を一酸化炭素ガス濃度計で確認する
  • ファンは適切に管理し、吹出し口か吸込み口の風量を測って使う前に確認する
  • 機械換気は送気式と排気式の両方を使う送排気式が望ましい

送気式は外の空気を入れる換気で、排気式は中の空気を出す換気です。送排気式はその両方を行います。

十分に換気できたかは濃度計で確かめるのがポイントです。体感や窓が開いているかどうかだけで決めないようにしましょう。

送風機は「風が人のいる場所に届くか」で置く

前の章のトンネルの事例では、送風機と吸気用の風管が動いていました。それでも換気が不十分だった可能性があると厚労省は書いています。

風がぶつかりあって、換気不十分であった可能性がある

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等(令和元年)」

風と風がぶつかると、空気が流れずに同じ場所にたまります。送風機は空気が一方向に流れるように置き、エンジンの排気が人のいる側へ流れてこない向きにしましょう。

指針が「均一に」と書くのは、換気の弱い場所を作らないようにするためです。隅や機械の裏側のように空気が動かない場所を、先に探しておくといいでしょう。

閉めきりになりやすい場所を先に洗い出す

閉めきりになりやすい場所は、現場ごとにだいたい決まっています。作業の前に次のような場所を見ておきましょう。

  • 寒さ対策でビニールシートや防音シートで囲った作業場
  • シャッターを閉めた倉庫の端や荷さばき場の詰め所
  • 地下やピットや階段室など空気が上に抜けにくい場所
  • エンジンの機械を入れた小さな部屋やドアを閉めた休憩室

囲った場所は風と一緒に空気の流れも止めてしまいます。囲うときは換気の出入口も一緒に決めておきましょう。

作業を始める前に確かめる5つの項目のチェックリスト

図の中身を文字でも書いておきます。作業を始める前に確かめたいのは次の5つです。

  1. ストーブや発電機を使う場所の窓や出入口が開いている
  2. 送風機の風が人のいる場所に届いている
  3. 一酸化炭素の警報器や濃度計が動くのを確かめた
  4. 異常のときの逃げ道と連絡先をみんなが知っている
  5. 作業の責任者が誰かわかっている
新しく入った人や短時間だけ入る人へ
  • パートや派遣や応援で入った日は、持ち場のルールを知らないまま作業になりがちです
  • 「ここは何で暖房していますか」「ガスの警報器はどこですか」と最初に聞いてかまいません
  • 指針でも、新しく作業につく人への教育には換気設備や警報装置の使い方まで含めるとされています

冬に暖房やストーブを使うときの火の始末は、こちらの記事を参考にしてください。

工事現場で火事を起こさないために気をつけること!

一酸化炭素の換気は法令でどこまで決まっている?労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則

換気について法令にどう書かれているかを整理します。条文の原文はe-Gov 法令検索で読めます。

条文の範囲を広げて受け取らないよう、ここでは条の名前と要点だけを書きます。

確かめた条文の要点(2026年10月4日に e-Gov 法令検索で確認)
  • 労働安全衛生規則 第576条(有害原因の除去):ガスなどが出る有害な作業場では事業者が原因をなくす措置をとる
  • 労働安全衛生規則 第578条(内燃機関の使用禁止):自然換気が不十分な場所では内燃機関を有する機械を使ってはならない
  • 第578条のただし書き:排気ガスによる健康障害を防ぐためにその場所を換気するときは別
  • 労働安全衛生規則 第601条(換気):常時人が働く屋内作業場は、外気に開く窓などの面積を床面積の20分の1以上にする
  • 第601条のただし書き:十分に換気できる性能の設備を設けたときは窓の面積の決まりによらなくてよい
  • 事務所衛生基準規則 第5条:空調や機械換気のある事務所では供給する空気の一酸化炭素を100万分の10以下にする
  • 第5条のかっこ書き:外気が汚れていて10以下にできないときは100万分の20以下
条文はe-Gov 法令検索で「労働安全衛生規則」「事務所衛生基準規則」を開くと読めます。e-Gov 法令検索

578条は坑やタンクや船倉の内部などを例に挙げたうえで「その他の場所」と書いています。例に並んだ場所に限らず、自然換気が不十分な場所が対象です。

建設業の指針は578条の考えを現場向けにくわしく書いたものです。その中にこんな一文があります。

自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械及び練炭コンロ等を使用してはならない。

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

この一文には続きがあります。どうしても使う場合は、換気に加えて作業の前と最中と異常のときにやることが決められています。

601条の窓の面積は屋内作業場の換気の基本の決まりです。満たしていても、ストーブや発電機から一酸化炭素が出ないという保証にはなりません。

事務所の10ppmも同じです。決まりの数字を守ったうえで、現場ごとに濃度を確かめることが大切です。

燃やす暖房を減らす:電気ヒーターという選択肢

換気とあわせて、原因そのものを減らすのも対策です。指針でも一酸化炭素の出にくい機材を選ぶことが、作業前の管理に入っています。

暖房を電気にすれば燃やさないので一酸化炭素は出ません。ただ電気の容量や現場の電源の都合がつかないこともあります。

広い場所を温めたいとき:遠赤外線電気ヒーター

詰め所より広い場所なら、遠赤外線タイプの電気ヒーターがあります。ミドリ安全.comには単相200Vで使う大型の物があります。

防寒 遠赤外線電気ヒーター ホカットe WPS-20s(ミドリ安全.com)

ミドリ安全 防寒 遠赤外線電気ヒーター ホカットe WPS-20s

作業場を燃やさずに温める単相200Vの電気ヒーターです

おすすめポイント
  • 燃やさない電気式のヒーター。パネルの高さは926mmと1026mmと1126mmの3段階に変えられる
  • 電源は単相200V。消費電力は弱で1.0kW、強で2.0kW。定格電流は10A
  • 重さは14.5kg。電源プラグは付いていないので購入する側で用意する
  • ミドリ安全.comの販売価格は104,500円(税込・税抜95,000円)。防爆仕様ではない
電源の工事や容量の確認が要ります。ガスや可燃物がある場所では使えません。

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公式サイト

高額なので、個人で買うより会社や現場で用意する設備です。必要を感じたら、作業の責任者や安全担当に燃やす暖房の代わりの案として話してみましょう。

電気式の暖房や防寒用品は作業服店やホームセンターでも手に入ります。選ぶときは、使う電源の電圧と置く場所の広さを先に決めておくといいでしょう。

首や手足の冷え対策など暖房以外の防寒は、こちらの記事を参考にしてください。

工事現場の防寒対策!寒い冬に使える効果的な防寒対策グッズの活用方法と口コミ

一酸化炭素警報器やガス検知器で濃度を目に見えるようにする

換気や暖房を見直しても、本当に濃度が下がっているかは目で見えません。そこで警報器やガス濃度計が必要になります。

建設業の指針は作業中の管理についてこう書いています。

労働者が作業を行っている間、継続的に、一酸化炭素の気中濃度を測定すること。

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

住宅向けの説明ですが、東京消防庁も警報器について触れています。

一酸化炭素を感知する警報器を設置することも早期発見に有効です。

出典:東京消防庁「住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!」

警報器を選ぶときに指針が挙げている点

指針の警報装置の項目には、選び方と使い方が具体的に書かれています。現場で選ぶときの目安にするといいでしょう。

  • ガスを検知する目的や場所など、作業や環境の条件を考えて機種と設置場所を選ぶ
  • 警報が出たことを作業中の人にすぐ知らせられるものを選ぶ
  • いくつもの場所で作業するときはそれぞれの場所に置く
  • 必要に応じてフィルターや防滴カバーを付ける
  • 使う前に作動を確かめ、作業前にゼロ調整を必ず行う
  • 強い振動や衝撃を避け、日常点検と定期点検を行う

警報が鳴っても聞こえなければ意味がありません。騒音の大きい現場では振動やランプで知らせる物が役に立ちます。

警報器の説明に出てくる言葉も見ておきましょう。ゼロ調整はきれいな空気の中で表示を0に合わせる作業です。校正は表示のずれを直して正しい濃度が出るようにする作業です。

IP67相当は、粉じんが入らず水に一時的につかっても使える程度の防塵防水の等級です。ロギングは測った濃度を機器の中に記録しておく機能です。

ミドリ安全.comの装着形の警報器は、ヘルメットや服に着けて使います。

装着形一酸化炭素検知警報器 CM-9A(ミドリ安全.com)

ミドリ安全 装着形一酸化炭素検知警報器 CM-9A

作業中の濃度を身につけて見張る装着形の警報器です

おすすめポイント
  • 大きな警報音とランプとバイブレーションで知らせるので騒音の中でも気づきやすい
  • 重さは約60g(電池を含まない)。大きさは幅77×奥行21×高さ42mm(突起を除く)
  • 防塵防水構造(IP67相当)。省電力設計で5000時間使える
  • 作業中のピーク濃度を確かめられ、記録を残すロギング機能もある。ミドリ安全.comの販売価格は71,500円(税込・税抜65,000円)
この商品は注文した時点からキャンセルできません。ゼロ調整や校正の方法は取扱説明書で確認してください。

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公式サイト

一酸化炭素の検知器はほかのメーカーも作っています。会社が付き合いのある保安用品店や計測機器の取扱店でも手配できます。

家庭用の警報器もありますが、粉じんや水や振動のある現場で使えるかを今回は確かめられなかったので載せていません。

警報器があれば換気しなくてよいわけではありません。警報器は異常を知らせる物で、濃度を下げるのは換気と燃やす機械を減らすことです。

作業環境の気温や湿度を測る計測器の種類は、こちらの記事を参考にしてください。

温熱環境ってなに?作業環境の気温や湿度の計測器はどんなものがあるの?

異常を感じたときにやること:退避と119番

頭痛やめまいや吐き気を感じたら、一酸化炭素を疑って動いてください。指針の異常時の措置は、まず人を安全な場所に出すことから始まります。

速やかに作業に従事する労働者及び作業場所付近の労働者を安全な場所へ退避させること。

出典:建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン(安全衛生情報センター)

動けなくなる前に、まず外の空気のあるところへ出ましょう。ひとりで抱えこまず、近くの人に知らせてください。

一酸化炭素中毒の異常を感じたときの4段階の動き方

図の中身を文字でも書いておきます。順番は次の4つです。

  1. 作業をやめる
  2. 外の空気のあるところへ出る
  3. 周りに知らせて119番に連絡する
  4. ひとりで元の場所に戻らない

元の場所に戻るときの条件

警報が鳴ったり誰かが倒れたりしたあとは、すぐに元の場所へ戻らないでください。指針は戻るための条件も決めています。

  • 十分に換気してから一酸化炭素と酸素の濃度を確認する
  • 原因を調べて換気や作業方法の問題を直し、安全を確かめてから作業を再開する

助けに行った人が同じガスで倒れる事故を防ぐための決まりです。助けるときも、換気と濃度の確認ができるまではむやみに中へ入らないでください。

医療の判断や治療はこの記事では扱いません。意識がおかしい人がいるときは、迷わず119番で救急車を呼んでください。
やってはいけないこと
  • 頭痛やめまいを寒さのせいにしてそのまま作業を続ける
  • においがないからと換気や警報器の確認を省く
  • 換気も濃度の確認もしないまま、倒れた人をひとりで助けに入る
  • 警報器が鳴ったのに音を止めて作業を続ける

倉庫や工場や食品工場で働く人が持ち場で気をつけること

ここまでは建設現場の話が中心でした。倉庫や工場でも見るところは同じで、燃やす物と換気と濃度の数字の3つです。

倉庫:エンジン式の機械と閉めた荷さばき場

エンジンで動く機械を屋内で使うと排気ガスが出ます。シャッターを閉めた荷さばき場や、寒いからと閉めた出入口が換気の弱点です。

使っている機械がエンジン式か電池式かは、車体や取扱説明書でわかります。エンジン式なら置き場所と出入口の開け方を作業の責任者に聞いておきましょう。

工場や食品工場:ガス機器と換気装置

炊飯や加熱にガス機器を使う工場では、換気装置が止まると一酸化炭素が室内にたまります。令和元年の事例にも、停電で止まった換気装置が復旧しないままだった例があります。

警報器には壁や柱に付ける設置型と身につける小型の物があり、音やランプで知らせます。見当たらないときは、責任者に「この持ち場に警報器はありますか」と聞きましょう。

始業前には換気扇や排気装置が動いているかと、警報器があるかを見ておきましょう。停電のあとは再開前に換気を確かめることを、職場のルールにしておくといいでしょう。

自分で身につけて確かめる方法もあります。手首やヘルメットのバンドに着ける小さな一酸化炭素モニターです。

腕時計型一酸化炭素モニター GW-3(CO)(ミドリ安全.com)

ミドリ安全 腕時計型一酸化炭素モニター GW-3(CO)

手首に着けて濃度の上がりを振動で知る小さなモニターです

おすすめポイント
  • 手首や腕やヘルメットバンドに着けられる約45gの一酸化炭素モニター
  • ブザーとランプに加えて振動でも知らせるので騒音の中でも気づきやすい
  • 防爆構造は本質安全防爆(Ex ia ll C T4 Ga)。防塵防水はIP66/68相当
  • ミドリ安全.comの販売価格は53,174円(税込・税抜48,340円)。電池と時計ベルトとベルトクリップが付く
ガスやエンジンのある持ち場で身につけて使う警報器です。

本質安全防爆は、機器の電気の火花や熱でまわりの可燃性ガスに火がつかないように作られた構造のことです。

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現場の一酸化炭素中毒でよくある質問

現場でよく聞かれることに答えます。値段や規格は確かめた数字で書いています。

ジェットヒーターは換気すれば屋内でも使える?

この記事では「換気すれば使える」とは言い切れません。調べた資料に、ジェットヒーターを屋内で使ってよい条件を決めた条文や数字がなかったからです。

指針は、自然換気が不十分な場所で内燃機関を有する機械を使ってはならないとしています。屋内で使うかは機械の取扱説明書と作業責任者の判断で決め、使うなら濃度計で確かめるのが一般的です。

会社に警報器をつけてもらうには何と言えばいい?

たとえば「ストーブを使う詰め所に一酸化炭素の警報器を置けませんか。頭が痛くなる人が出ています」と伝えてみましょう。ミドリ安全.comの装着形なら71,500円と、値段も添えて話すと検討が進むと思われます。

責任者が決まっていない現場なら、作業責任者を決めるところから相談するといいでしょう。指針では作業手順書に警報装置の種類も書くことになっています。

食品工場や飲食店の厨房でも起きる?

起きています。令和元年の事例には炊飯室やラーメン店や食器洗浄室などが入っていました。換気装置が止まっていたことやガス機器の着火不良が書かれています。

厨房では始業前に換気扇が動いているかを見ておきましょう。火のつきが悪いなどガス機器の調子がおかしいときは、使うのをやめて責任者に伝えてください。

換気扇が止まっているのに気づいたら、パートでも言っていい?

言ってかまいません。気づいた人が声に出すのがいちばん早い対策です。「換気扇が回っていないようです。ガスを使う前に見てもらえますか」と伝えれば十分です。

責任者が忙しそうなときは、ガス機器を使わずに待ちましょう。頭が痛くなってからではなく、止まっているのに気づいた時点で伝えることが大切です。

車の中で暖を取るときの注意は?

エンジンをかけたままの車内は、マフラーが雪でふさがると危険です。令和元年の事例にも、雪に覆われた車の中で亡くなった例が載っています。

待機するときはマフラーのまわりの雪を取り除き、窓を少し開けておきましょう。車の中で寝ないと決めておくと安心です。

コンクリートの養生で練炭を使うのはどうなの?

建設業の指針は、練炭コンロなどを使うコンクリート養生を一酸化炭素中毒の発生源のひとつに挙げています。自然換気が不十分な場所では使ってはならないとも書かれています。

やむを得ず使うなら、換気に加えて警報装置や呼吸用保護具などの管理が要ります。使う前に作業責任者と手順を決めておきましょう。

換気すると養生に支障が出る場合の方法も指針に書かれています。一酸化炭素が出る機材をほかの物に替えるか、作業方法を見直すか、有効な呼吸用保護具を使うかです。

まとめ:現場の一酸化炭素中毒は燃やす機械と換気と数字の3つで防ぐ

一酸化炭素は色もにおいもなく、気づいたときには動けなくなっていることがあります。燃やす機械の使い方と換気と警報器の3つを、作業の前に決めておきましょう。

現場でやることを6つにまとめました。

この記事のまとめ
  • 暖房や発電機など燃やす物を閉めきった場所で使わない
  • 頭痛やめまいや吐き気を寒さや疲れのせいにせず、一酸化炭素を疑って外に出る
  • においで判断しない。換気できたかは濃度計や警報器の数字で確かめる
  • 送風機は置くだけでなく風の向きと風量を確かめる。風がぶつかる置き方は避ける
  • 暖房を電気に替えられるなら、燃やさない分だけ原因が減る
  • 異常のときは外へ出て周りに知らせ、119番に連絡する。ひとりで元の場所に戻らない
安全くん
寒さをこらえるのも息苦しさをがまんするのも危ないです。作業の前に換気と警報器の置き場所を決めておくだけで、冬の現場はずいぶん安全になります。

建築現場で起こりやすい事故と三大災害を防ぐ考え方は、こちらの記事を参考にしてください。

建築現場ではどんな事故がいつ起こりやすい?建設三大災害を防ぐためにできることは?
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